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数日前にキヨは退院して行った。
大方足が治ったそうで、早く走ってサッカーをしたいと大喜びしていた。
その後くれぐれも無理はしないようにと再三医者にこっぴどく言われるキヨを見てAは腹を抱えて笑っていた。
どうにもキヨを見ているとAは学生時代に戻った気がしてしまう。
いつも寄り添ってくれて、ノートだって嫌な顔一つ見せずに色を使うところを教えてくれた。
自販機の飲み物が全て白黒で買う気も起きなかったジュースの美味しさを教えてくれたのも彼だった。
『こんなもんかな』
そして今日はA自信が退院する日だった。荷物を纏めて隅に置いておく。
なるべく腰に負担をかけないようにしてゆっくりベットに腰掛けた。
Aが退院する日、キヨは退院祝いをしに病室に来てくれると言っていた。
まぁ彼の事だ。これは遅刻確定だとAは意識せずとも鼻で笑ってしまった。
まだ時間があるとテレビを付けて眺める。
とりあえず仕事は完治するまで休むつもりだが、外出してはいけない訳では無い。
キヨとご飯に行くぐらい許されることだろう。
病院を出てからどうしようかと想像を膨らませていると、お世話になった看護師さんが自ら病室に来てくれた。
「退院おめでとうございます。…あれ？あの方はお越しにならないんですか？」
『いやーあいつの事なので多分寝坊でも』
そうAが言いかけた時に廊下から病院では聞かないような騒がしい足音と「走らないで下さい！」という看護師さんの怒号が聞こえる。
「A！！！お待たせ！！！」
勢いよく飛び込んできたキヨが満面の笑みと共にAに向かって抱えきれないほどの大きさの花束を突き出した。
開けていた窓から風が吹き付けて取れかけていた花びらが数枚病室に舞散った。
『……赤、ばら…』
ポツリと呟いたAにワンテンポ遅れて看護師とキヨが驚愕し、目を見開いた。
Aが色を認識したのだ。
「…色、…色！分かるのか！？」
焦った声でキヨがそう必死に問いかけるとAはたがが外れた様にボロボロと大粒の涙を流しながら首を勢いよく縦に降った。
「……A、こんな時にあれなんだけど……俺と付き合ってくれませんか」
『こんな時って…ばかぁ、最高の瞬間だよ……』
その言葉にキヨは飛びつくようにAを精一杯抱き締めた。
溢れる極彩色の中、Aもキヨの背に手を回した。
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color(プロフ) - 合っていまして… ！！徹頭徹尾好きで溢れてて同じ小説を書くもの、参考にもなりました…作者様のファンになりました笑 久しぶりのドキドキをありがとうございました、、！長文失礼しました。 (2022年6月12日 1時) (
レス) id: 6967548606 (このIDを非表示/違反報告)
color(プロフ) - 先程見つけて全部読ませて頂いたのですが……！言葉選びや表現の仕方等がとても素敵で…感動しました、どの話も好きです…特に「後悔愛に立たず」が一番好きです…思わず背筋がゾクッ、としましたし、彼の彼女に対する愛情や最後の終わり方が物凄く私の趣味に (2022年6月12日 1時) (レス) @page49 id: 6967548606 (このIDを非表示/違反報告)
蠍(プロフ) - もふたにえんさん» ありがとうございます！！言葉選びにはけっこつ気を付けています笑なのでそこに触れて頂きとても嬉しく思います！！本当にのろまな更新ですが引き続きよろしくお願いします。 (2019年9月16日 3時) (レス) id: 19b4bd13c3 (このIDを非表示/違反報告)
もふたにえん(プロフ) - 新しい話更新されていて急いで読みました！蠍さんの作品は全て綺麗な言葉で書かれておりどれも飽きません。完全に蠍さんのファンです笑これからもゆっくり更新待ってます！ (2019年9月16日 3時) (レス) id: a8f8fce798 (このIDを非表示/違反報告)
蠍(プロフ) - 佳奈さん» ありがとうございます！とっっっても励みになります！！ (2019年9月16日 1時) (レス) id: 19b4bd13c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蠍
| 作成日時：2019年6月27日 12時
