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嗚咽が止んだと思い大丈夫かとAが尋ねるとゆっくりとキヨが腫らした目だけをこちらに向けてコクリと頷いた。その様子がどうにも可愛くて思わずAはくすくすと笑ってよかったと一言告げた。
「ありがとう…」
彼の呼吸も落ち着いて目の腫れが少し引いた頃、彼がそうぼそっと恥ずかしそうに呟いた。
「………これから、どうしよう」
しかしその次に続いた言葉はまた現実を突きつける言葉。それはそうだ。彼がここに来て過去を語ろうと自体は良くなる所かますます深刻化している。今頃脱走した彼を血なまこになって話にでてきた男たちは探しているだろう。
Aは暫し考えるもなかなかいい解決案は浮かばず唸るばかり。キヨも同じように暗い表情で考え込んでいる。
「元の場所に戻るのは絶対に嫌だけど……どうしようも…ないよな」
諦めの色が見え隠れするキヨに何か解決案を提示しなければと躍起になって考え込むA。自体は以前変わらずでただ思考をめぐらすだけ。身分証は当然男達が持っているだろうし、キヨの顔は明らかに割れている。
となると
『仕方ないよ』
「……やっぱ戻るしか」
『全部捨てて逃げよう』
「……は？」
Aの発した言葉の意味が理解できないのか彼は目を白黒させた。
無茶というのは百も承知。しかしここではい仕方ありませんねと引き下がるのが癪だった。
『名前も身分も髪の色も何もかも全部変えて逃げようよ。協力するからさ！』
考えても見ればこの大都会で人一人見つける方が難しいはずなのだ。相手だって大きく動くことが出来ないような奴らだ。きっと何もかも変えてしまえばいずれ諦めるだろう。そんな楽観的な彼女なりの考えだったが彼も不思議とそこに希望を見出したようでぱっと表情が晴れる。
「…巻き込むかもしんねぇぞ」
『大丈夫、大丈夫』
「お前それさっきも慰めるとき根拠なく言ってたろ…」
呆れ顔をしていたキヨだったが次第に表情は柔らかくなった。既に時刻は四時を周り、朝日がビル群を照らしガラス窓によって光が乱反射する。
摩天楼が煌めく大都会の中に希望を求める二人のさも愉快そうな笑い声が響きわたる。
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color(プロフ) - 合っていまして… ！！徹頭徹尾好きで溢れてて同じ小説を書くもの、参考にもなりました…作者様のファンになりました笑 久しぶりのドキドキをありがとうございました、、！長文失礼しました。 (2022年6月12日 1時) (
レス) id: 6967548606 (このIDを非表示/違反報告)
color(プロフ) - 先程見つけて全部読ませて頂いたのですが……！言葉選びや表現の仕方等がとても素敵で…感動しました、どの話も好きです…特に「後悔愛に立たず」が一番好きです…思わず背筋がゾクッ、としましたし、彼の彼女に対する愛情や最後の終わり方が物凄く私の趣味に (2022年6月12日 1時) (レス) @page49 id: 6967548606 (このIDを非表示/違反報告)
蠍(プロフ) - もふたにえんさん» ありがとうございます！！言葉選びにはけっこつ気を付けています笑なのでそこに触れて頂きとても嬉しく思います！！本当にのろまな更新ですが引き続きよろしくお願いします。 (2019年9月16日 3時) (レス) id: 19b4bd13c3 (このIDを非表示/違反報告)
もふたにえん(プロフ) - 新しい話更新されていて急いで読みました！蠍さんの作品は全て綺麗な言葉で書かれておりどれも飽きません。完全に蠍さんのファンです笑これからもゆっくり更新待ってます！ (2019年9月16日 3時) (レス) id: a8f8fce798 (このIDを非表示/違反報告)
蠍(プロフ) - 佳奈さん» ありがとうございます！とっっっても励みになります！！ (2019年9月16日 1時) (レス) id: 19b4bd13c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蠍
| 作成日時：2019年6月27日 12時
