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彼は卒業式まで高校にはいなかった。高校最後の年の秋に入ろうとした頃に突然転校してしまったのだ。そしてAが携帯電話という流行りの機器を持つことに対し、親からの許しが得られなかったのでキヨとは正真正銘の高校ぶりであった。そのせいもあってかここまで変わった彼への驚きが数倍に膨れ上がっている。
「てか、そう、煙草吸うのかよ」
『まあ………悪いの？』
さっきと同じキヨの質問に眉をひそめながら答えるA。いつからなんて質問にもさあ？なんて面倒くさそうにはぐらかした。
『っ…！』
「……ピアスもあけてるし」
予兆無くキヨに左耳を触れられたAは激しく動揺して思わず身を引きながら手で耳を押さえた。
そんなビビるなよと言ってヘラつくキヨを見てまたイライラが募るA。こうしている間にも煙草の先は徐々に指に迫ってくるので仕方なく灰皿に煙草を押し付けた。キヨのせいで貴重な煙草を無駄な灰へと変えてしまった。し、隙を見せたことが何よりAは悔しかった。
「変わったなお前」
ひくりとAの煙草へと手を伸ばしていた指先が震えて止まった。その言葉は実はAにとっては好都合のはずの言葉であった。しかし実際今言われてみると何故かその言葉は変に胸を圧迫する要因へと化していた。
『変わった、でしょ』
その哀れさを悟られたくないと肯定するような相槌をAは打つと手は煙草ではなく酒へと伸びる。ぐっと勢いに任せた酒が喉を痛めつけるがそれが心地良い気がして深く息を着いた。
もう煙草を吸う気にすらなれなくて箱を手に取るが、手頃な形の箱に手はストレスを発散しようと思いのほか強く握りしめてしまった。
いくらでも返す言葉はあったはずだった。
お前こそカッコつけてるじゃんとか、久しぶりのくせに馴れ馴れしいなとか、…今更何の用とか。
それがスムーズに出なかったのは変わったと彼に言われたことに実際一瞬の絶望を抱いたからだった。
「ごめん」
『……は？』
突然のキヨの謝罪にAは思わず口が開いた。もしかしたら考えていたこと全てがバレたのかとも思うくらいに驚きと疑問で困惑した。
申し訳なさそうに瞳を落とした初めて見るキヨの顔と彼が一言で作りだした深刻そうな空気は、一層騒ぎ声が増した会場に二人を取り残した。
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color(プロフ) - 合っていまして… ！！徹頭徹尾好きで溢れてて同じ小説を書くもの、参考にもなりました…作者様のファンになりました笑 久しぶりのドキドキをありがとうございました、、！長文失礼しました。 (2022年6月12日 1時) (
レス) id: 6967548606 (このIDを非表示/違反報告)
color(プロフ) - 先程見つけて全部読ませて頂いたのですが……！言葉選びや表現の仕方等がとても素敵で…感動しました、どの話も好きです…特に「後悔愛に立たず」が一番好きです…思わず背筋がゾクッ、としましたし、彼の彼女に対する愛情や最後の終わり方が物凄く私の趣味に (2022年6月12日 1時) (レス) @page49 id: 6967548606 (このIDを非表示/違反報告)
蠍(プロフ) - もふたにえんさん» ありがとうございます！！言葉選びにはけっこつ気を付けています笑なのでそこに触れて頂きとても嬉しく思います！！本当にのろまな更新ですが引き続きよろしくお願いします。 (2019年9月16日 3時) (レス) id: 19b4bd13c3 (このIDを非表示/違反報告)
もふたにえん(プロフ) - 新しい話更新されていて急いで読みました！蠍さんの作品は全て綺麗な言葉で書かれておりどれも飽きません。完全に蠍さんのファンです笑これからもゆっくり更新待ってます！ (2019年9月16日 3時) (レス) id: a8f8fce798 (このIDを非表示/違反報告)
蠍(プロフ) - 佳奈さん» ありがとうございます！とっっっても励みになります！！ (2019年9月16日 1時) (レス) id: 19b4bd13c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蠍
| 作成日時：2019年6月27日 12時
