二十八話【進路】 ページ31
Aside
奥で話している。
…にも関わらず以外と控え室は静かだった。
本当にいるのか？
しかし数歩進むと話し声が聞こえてきた。
私は別に悪いことをしているわけでもないのにコソコソしながらそちらに耳を傾けた。
キ「就職しようかなって」
は？今、なんて？
「もったいない！キヨ君頭良いんだから進学したっていいのに！」
キ「ははっ…店長もそう言うんすね。担任にも言われました。それこそ有名校だってって…。けど、もう勉強したくないんですよね。」
ああ、そうだった。
先輩は三年生
進学や就職という選択肢はもうすぐそこまで来ているのだった。
「こっちの社員になってくれてもいいのだけど…まぁ、S社も結構有名な会社だしね。その学力なら高卒でもとってくれるんじゃない？」
キ「頑張ります。」
どうしてかな。
いつもこうやってすれ違ってしまう。
「ってあれ！？Aちゃん！？何で！？」
『あ、どうも…』
キ「お前…」
気まずいなぁ。こんな話聞いた後じゃ
顔、見たくても見れないや。
『あの、これ、どうぞ。』
「うわ、高そうなお菓子！皆に分けてこよう！！」
店長は嬉しそうに袋を抱えてキッチンの方に向かっていく。
「『あの…/あのさ！』」
『あ…』
キ「…はっ…見事にハモったな。お先にどうぞ。」
『あ、あの…就職って本当ですか？』
キ「聞いてたのか…。あぁ、本当。そろそろ辞めるって話を店長とな。」
辞める…んだ。
当然だよね。
『あ、それだけです。そちらは？』
キ「おう…ずっと言えなかったから。感謝と謝罪の言葉。あの時はありがとう。そして…ごめんな。跡残っちゃうよな…。」
普段見ない申し訳なさそうな顔に戸惑う。
『私こそ勝手な行動を…！』
キ「お前がいなかったらきっともっと酷い大事故だった。…けど、傷付けたのは俺。本当にごめん。」
『せ、先輩が無事ならそれで良いんです。それじゃあ就職頑張って下さいね。応援してます。』
息が詰まりそうな空気から抜け出したくて半ば強引に背を向ける。
振り替えったらだめだ。泣いちゃ
キ「A！」
『……』
キ「…また、遊びに行こうな。絶対だ。」
『そう…ですね。た、楽しみに…してます。』
最後の最後で泣いちゃったのは全部全部寂しさのせいじゃなくて先輩のせい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1121人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らいと ? ?(プロフ) - ホッケーゲームがポッキーゲームに見えた……私も末期だな(白目) (2021年8月16日 23時) (
レス) id: 787afec2fa (このIDを非表示/違反報告)
花音(プロフ) - めっちゃ面白かった!完結おめでとうです！！ (2018年7月28日 11時) (レス) id: 9c91fd3a1d (このIDを非表示/違反報告)
蠍(プロフ) - 金平糖@ラビが大好きリーフパイさん» ありがとうございます！！これからも頑張っていきます！！ (2017年4月16日 2時) (レス) id: 18babaf5ed (このIDを非表示/違反報告)
金平糖@ラビが大好きリーフパイ(プロフ) - 完結おめでとうございます！ドキドキしたりギスギス(？)したりとても素敵な作品ありがとうございます！これからも頑張ってくださいね！ (2017年4月12日 22時) (レス) id: 942887e5ad (このIDを非表示/違反報告)
蠍(プロフ) - あさぴよ。さん» 本当かい！？やったぜ。最後までありがとう！ (2017年4月12日 21時) (レス) id: 18babaf5ed (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蠍
| 作成日時：2016年9月20日 21時
