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「ほら、早く、謝って」
「っご、ごめんなさ、じろー、ちゃん……」
「……」
「ふふっ、あらあら、許しをもらえませんね、貴方の大好きな慈郎さんから。もう諦めたらどうです? 貴方には勿体ない。貴方に似合うのは、いい所ゴキブリですかね。それともゴキブリに失礼でしょうか。早く目の前から消えてもらえませんかね。それとも、まだ続けます? この無意味な争いを。勝ち目は0ですよね。音声も残ってますし、まず……」
「Aさん」
長太郎くんが、私に声をかける。
「っ……あ、……」
どうしてだか分からないが、今度は長太郎くんが声をかけただけで、私の口は止まることが出来た。
「Aさん、もう大丈夫だよ。大丈夫。ね? 芥川先輩も、そこまで深い傷じゃないし……」
「……ごめ、ん……」
「うん、気にしないで。ほら、先輩達に謝ろう?」
「う、うん……」
未だ慈郎さんに抱きついている先輩と、その隣にいる二人の先輩に近づくと、びくりと反応される。
「言い過ぎました……ごめんなさい……」
彼女達は、声を出せなくなっているのか、ふるふると弱く首を振ると、走って出ていった。
「……あ、えと……ごめんなさい……」
この空気、一体どうしよう。
「Aちゃん……」
ああ、やっぱり、怖いと言われるだろうか。
「まじかっけー!! やっべー!!」
「饒舌過ぎんだろ! いや……確かにあんなの見せられたらファンクラブも作りたくなるわ!」
岳人さんも、何だか熱くなっている。
「嬢ちゃんが別人に見えたわ……」
「かっけえな……」
侑士さんも、亮さんも、キラキラとした目で見てくる。
「お前、やるじゃん」
若くんは、口の端を釣り上げて笑った。
「ほう、意外な一面もあるじゃねえの」
景吾さんも、楽しそうに笑っていた。

五分くらいは凄い、かっこいい、という褒め言葉のオンパレードで、恥ずかしかった。
「Aさん、本当にちょっとでも大切な人が傷つくと駄目なんだね」
「そうだね……」
会話をしていると、景吾さんが指をパチンと鳴らす。
「騒ぐのもそれまでにしておけ。練習するぞ」
彼の言葉で、ぶーぶー、と文句を言いながらも、彼らはコートへと戻っていった。
さて、私は空き教室に水筒を取りに行かなきゃ。
私も部室を出ると、彼女達が歩いてきた。
「……ん」
「え?」
「これ、取ってきたわよ」
ぶっきらぼうに、三人から八つの水筒を渡される。急いで部室籠を取りに行き、全て入れてもらう。

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設定タグ:テニスの王子様 , 氷帝 , 逆ハー   
作品ジャンル:恋愛
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かるぴん(プロフ) - 面白いです! (2021年2月25日 3時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
いーさん(プロフ) - 愛美さん» ありがとうございます!更新できずにすみませんでした! (2018年6月8日 22時) (レス) id: 1066195b5b (このIDを非表示/違反報告)
いーさん(プロフ) - 悟空の頭撫で隊さん» 忙しくて更新できずにすみませんでした!これから更新していく予定です!! (2018年6月8日 22時) (レス) id: 1066195b5b (このIDを非表示/違反報告)
愛美(プロフ) - 続き楽しみにしてます。頑張ってください! (2018年6月3日 17時) (レス) id: dde960ea55 (このIDを非表示/違反報告)
悟空の頭撫で隊 - 更新がんばってください!私この、むーくん大好きです!続き気になりますがんばってください! (2018年3月23日 17時) (レス) id: 1473042b0d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いーさん | 作成日時:2017年8月16日 17時

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