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「うわあああっ! ダメダメっ! 跡部言っちゃだめえっ!!」
慌てたように言いながら、ガタンと音を立てて席を立つ。机を思い切り叩いたせいで、上に乗っている皿が動く。
「ふっ、悪い悪い」
「も、もお……」
「え? 何がどうしたんですか?」
単純に疑問をぶつけるが、景吾さんは教えてくれない。
「お前は知らねえほうがいいな。知らぬが仏。いいな?」
「そんな……」
「ジローへの好感度が下がるぞ」
「……?」
「ま、お前にはまだ早いかもな」
「……??」
私には、全く訳が分からず、首を傾げることしか出来なかった。
芥川は、夢で、彼女が淫らな姿をして、基本的に男女が夜に営む不埒な夢を見てしまい、その内容を宍戸と話していたのだ。
けれど、宍戸はそういう類の話は苦手な為、赤面をしていた。
流石は中学生といったところか、お盛んなことだ。
勿論、そんな夢を見たと彼女に話しては、彼の好感度が下がることは愚か嫌われること間違いなし。その前に異性の前でそんな話をするものじゃない。ということで言えるはずもなく、彼らだけの秘密となった。
けれど、彼女の不信感は高まるばかりで、遂には芥川と宍戸の間にそういう関係が出来たのか、と考え始める始末だ。
その考えを必死に止める二人であったが、跡部は朝から騒がしいと頭を抱え、忍足と樺地に心配されていた。
「慈郎さんも亮さんも酷いですよ……」
「許してやれ。男の性だ」
「景吾さんもです!」
「俺様もか……」
すっかり機嫌を損ねてしまった私は、若くんと侑士さんのところで朝食をとることにした。
「……お嬢ちゃん、そないに怒らんでも……」
「だって……」
「お前、真実を聞いたところで幻滅して終わりだぞ。芥川さんの為だ」
「何言ってるのか分かんない……」
全く、一体何を言っているのだ。聞けば幻滅するだなんて、そんなことはない。慈郎さんに幻滅なんてしない。
「……」
「けどA、怒りながらでも食うもんは食うんだな」
「……うん」
そこら辺にあるものを食べまくっていた。
「太るぞ」
「あ、それ女の子に禁句」
「お嬢ちゃん、性格変わっとるで……」
「……だって、だって……」
私だけ仲間はずれみたいで、何だか悲しいのだ。
「まあ、すねとるお嬢ちゃんもかわええし、中々見られへんからええねんけどな」
優しく笑って、少ししてサラダを一口食べていた。
「……」
「堪忍したって。お嬢ちゃんもいずれ分かるで」
「……」
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かるぴん(プロフ) - 面白いです! (2021年2月25日 3時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
いーさん(プロフ) - 愛美さん» ありがとうございます!更新できずにすみませんでした! (2018年6月8日 22時) (レス) id: 1066195b5b (このIDを非表示/違反報告)
いーさん(プロフ) - 悟空の頭撫で隊さん» 忙しくて更新できずにすみませんでした!これから更新していく予定です!! (2018年6月8日 22時) (レス) id: 1066195b5b (このIDを非表示/違反報告)
愛美(プロフ) - 続き楽しみにしてます。頑張ってください! (2018年6月3日 17時) (レス) id: dde960ea55 (このIDを非表示/違反報告)
悟空の頭撫で隊 - 更新がんばってください!私この、むーくん大好きです!続き気になりますがんばってください! (2018年3月23日 17時) (レス) id: 1473042b0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いーさん | 作成日時:2017年8月16日 17時