７３ ページ24
「そ、そっか！ 良かった」
「もう、岳人さんったら、そんなこと気にするお人じゃないでしょう？」
くすくすと笑うと、笑うな、とつっこまれる。
「……お前、さ。その、なんつーか、きれーな服着てんな……」
「そうでしょうか？ 普段からこんな感じですよ」
これはお母さんが選んでくれた服だ。
「その……似合ってる」
「本当ですか？ ありがとうございます」
岳人さんが褒めてくれるなんてそうそうないから、嬉しいな。
「その動きやすそうな服、岳人さんらしくて似合ってますよ」
「お、おう……ありがと……」
何だかちょっとだけ照れているように目を逸らし、可愛いなあ、なんて悠長に思っていた。
「……はあー……お前って、ほんっと天然だよな」
「え？」
「……何でもね、こっちの話！」
くるりと周り、ベッド付近に荷物を置いた。私もその近くに置いた。
「あれ？ そういえば、ベッド一つだけですね」
まあ、それもそうか。お客様用であり、一人部屋なんだから、ベッドは一つだよね。
「えっ！？」
「え？」
「お、おお、俺、下で寝るからな！？」
「え、駄目ですよ。普段からテニスで疲れているんですから、こういう時こそちゃんと寝ないと！」
私は別に下で寝てもいい。さほど疲れていないし、まあ、いいかな。
「いや、俺が下だ！」
「私が下です」
「お前は上！」
「私は下でいいです」
両者一歩も譲らない。これでは埒が明かない、と思ったが、一つ案が思いついた。
「あ、なら、一緒に上で寝ましょう？ それなら、文句ないですよね！」
これは名案だ！ と自分で自分を賞賛する。
「それはもっっっっとだめだー！！！！」
岳人さんは、顔を真っ赤にして大声を出した。
「え？ でも……」
「お前は女！ 俺は男！ 意味分かるな！？」
「はい……」
「じゃあ俺は下！ お前は上！ 分かったな！？」
「分かりません」
「なんッで分かんねえんだよ！？」
まるで漫才のようにすぐに返ってくる返しが面白い。
「まあまあ、そんなに気にするんでしたら、一度ベッドに一緒に座りましょう？ そうしたら慣れますよ！」
岳人さんの腕を引いて、ベッドへと誘う。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 266人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「テニスの王子様」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かるぴん(プロフ) - 面白いです！ (2021年2月25日 3時) (
レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
いーさん(プロフ) - 愛美さん» ありがとうございます！更新できずにすみませんでした！ (2018年6月8日 22時) (レス) id: 1066195b5b (このIDを非表示/違反報告)
いーさん(プロフ) - 悟空の頭撫で隊さん» 忙しくて更新できずにすみませんでした！これから更新していく予定です！！ (2018年6月8日 22時) (レス) id: 1066195b5b (このIDを非表示/違反報告)
愛美(プロフ) - 続き楽しみにしてます。頑張ってください！ (2018年6月3日 17時) (レス) id: dde960ea55 (このIDを非表示/違反報告)
悟空の頭撫で隊 - 更新がんばってください！私この、むーくん大好きです！続き気になりますがんばってください！ (2018年3月23日 17時) (レス) id: 1473042b0d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いーさん | 作成日時：2017年8月16日 17時
