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亮さんも、私と同じように少し下がり、携帯を構える。
「それじゃあ撮るぜ」
言われてすぐに風が吹いた。髪が風にのり、乱れるのが嫌で側頭部近くの髪を抑える。思わず目を瞑ってしまった。その後すぐにカシャリ、とシャッターを切った音がした。
「あ、ごめんなさい。もう一度撮りますよね」
慌てて格好を整える。
「……いや、大丈夫だ」
私に二度も撮らせるのは悪いという亮さんの良心なのか、携帯をポケットにしまってこちらへ来た。
「本当にいいんですか?」
「ああ。あ、俺も待ち受けにしていいか?」
「え? いい、ですけど……」
彼は、この写真を消すことはないだろう。
そこに写っていたのは、誰もが目を引く様な綺麗で美しく、可憐な女の子の姿だった。背景など目にも入らぬような、綺麗な女の子。
「お邪魔するぜ」
「お邪魔します」
「ようこそいらっしゃいました。宍戸様、夏川様」
家に入ると赤色の絨毯が敷いており、右側にはメイドさん、左には執事さんがずらりと並んでいた。
「何時もそこまでしなくていいんすよ……?」
「いえいえ、景吾様の大切なご友人ですので、当然のことです」
にこりと、手前のメイドさんが言う。
「これはこれは、とても美しい方ですね」
「流石景吾様。ご友人になられるお方はルックスも兼ね備えていらっしゃる」
何だ、何の話が行われているのだ。
「それでは、景吾様の部屋へお連れします。鳳様と芥川様、樺地様もいらっしゃっていますので、どうぞごゆっくり」
階段にも赤色の絨毯が敷かれており、手すりは金色に輝いていた。
そこを登り、少し歩くと、ここです、と止まった。
「それでは」
案内をしてくれたメイドさんにお辞儀をすると、微笑まれる。綺麗な方だ。
「跡部ー」
亮さんがおもむろに部屋を開けると、景吾さんが長太郎くんを押し倒しているという、異様な光景があった。
「失礼しました」
亮さんはドアを閉め、私は黙りこくっていた。
「……あの二人って、そういう関係だったんだな」
「……そう、みたいですね」
扉がいきなり開かれる。
「ちょ、ちょっと! 宍戸さん! Aさん!! 変な勘違いしないでください!」
長太郎くんが顔を真っ赤にしていた。
「王様ゲームねえ……」
どうやら、王様ゲームをやりたいと慈郎さんが駄々をこねるものだから、やっていたところ、意外にも楽しかったとのことで、続けていると、慈郎さんが王様を引き当て、一番が三番を押し倒す、という命令をしたそうだ。
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かるぴん(プロフ) - 面白いです! (2021年2月25日 3時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
いーさん(プロフ) - 愛美さん» ありがとうございます!更新できずにすみませんでした! (2018年6月8日 22時) (レス) id: 1066195b5b (このIDを非表示/違反報告)
いーさん(プロフ) - 悟空の頭撫で隊さん» 忙しくて更新できずにすみませんでした!これから更新していく予定です!! (2018年6月8日 22時) (レス) id: 1066195b5b (このIDを非表示/違反報告)
愛美(プロフ) - 続き楽しみにしてます。頑張ってください! (2018年6月3日 17時) (レス) id: dde960ea55 (このIDを非表示/違反報告)
悟空の頭撫で隊 - 更新がんばってください!私この、むーくん大好きです!続き気になりますがんばってください! (2018年3月23日 17時) (レス) id: 1473042b0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いーさん | 作成日時:2017年8月16日 17時