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家に戻ると、夜ご飯が出来ていた。
洗い物を選択かごに入れ、お風呂に入る。
「お泊まり、かあ……」
そんなこと、学校行事以外でしたことがなかったので、楽しみで仕方がなかった。
その日は、浮かれ気分でベッドについた。
午前五時半。目を覚まし、背伸びをする。まだ目が虚ろで、起きる気になれない。
それでも、何とか体を起こして、リビングへ向かう。
今日も朝練があるから、早起きなのだ。
「……おはよう」
「あら、おはよう!」
待って。お母さん一体何時も何時に起きてるの。
「あんたが朝練あるって言ってたからね、お母さんも早く起きなきゃね」
全く、このお母さんは何処までも頼りがいのある人だ。
歯磨きをし、顔を洗い、朝ごはんを食べて、授業の予習を少しして、ジャージに着替えて家を出た。
今日は昨日とは違って余裕がある状態で学校へ向かっている。
すると、後ろから、タッタッタ、と軽い足音が聞こえた。
「お、やっぱAじゃねえか! おはよーな!」
振り向くと、亮さんがいた。
「おはようございます」
やはり、いつ見ても重そうな荷物だ。
「Aのマンション通り過ぎて、あの角曲がったことをずっと真っ直ぐ行ったとこの住宅街が俺の住んでるとこだぜ!」
「そうなんですね」
つまり、結構近いということだろうか。
「だからよ……」
「はい」
「えーと、今日さ、跡部ん家泊まるだろ?」
何だか頬が赤い。頬を軽くかき、目を逸らされた。
「だから、よ。その……一緒に行かねえか?」
「あ、お願いします! 道分からなかったので助かります!」
亮さんと一緒に行けるなんて、嬉しい限りだ。一人だったら、道に迷ってしまうかもしれないし。
「お、おう!」
亮さんの笑顔が、何だか可愛く思えた。
学校に着くと、変わらず女の子が集まっている。
「……」
慣れているのか、急ぎ足で部室へと入っていった。
私は、入るわけにもいかないので、待っている間に干したタオルを畳んで待っていた。
少しすると皆が出てきた。
「おはようございます、皆さん」
「おうよー!」
「むー……Aちゃん、宍戸と一緒に登校したんだねー」
「え? あ、はい……」
明らかに不機嫌な顔をしている。
「……ま、いいけど」
機嫌を損ねてしまっただろうか。
考えているうちに、全員ウォーミングアップを始めていた。
「きゃああああああっ!」
「ジローちゃん頑張ってー!!」
「向日くーん!!」
「跡部さまーっ!」
相変わらずの歓声に、乾いた笑いしか出てこなかった。
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かるぴん(プロフ) - 面白いです! (2021年2月25日 3時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
いーさん(プロフ) - 愛美さん» ありがとうございます!更新できずにすみませんでした! (2018年6月8日 22時) (レス) id: 1066195b5b (このIDを非表示/違反報告)
いーさん(プロフ) - 悟空の頭撫で隊さん» 忙しくて更新できずにすみませんでした!これから更新していく予定です!! (2018年6月8日 22時) (レス) id: 1066195b5b (このIDを非表示/違反報告)
愛美(プロフ) - 続き楽しみにしてます。頑張ってください! (2018年6月3日 17時) (レス) id: dde960ea55 (このIDを非表示/違反報告)
悟空の頭撫で隊 - 更新がんばってください!私この、むーくん大好きです!続き気になりますがんばってください! (2018年3月23日 17時) (レス) id: 1473042b0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いーさん | 作成日時:2017年8月16日 17時