はつゆきさくら～プロローグ～ (ページ3)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:1,762 hit

12月5日(月)part2 ページ3

どのくらい時間がたっただろうか
ファミレスで時間を潰しているうちに辺りはすっかり暗くなり空に星が輝いていた

初雪「さぶっ」

真冬の夜は流石に冷える
結構な厚着をしたつもりだが冷気が肌をくすぐる
こんな時は、手近な自販機で何か温かいものを飲もう
反対側の歩道に自販機を見つけると財布から千円札を取り出しを道路を小走りで横切った

⁇『ウィッキィ』

何だか変な声がしたので横を振り向くとウサギが立っていた

初雪「ウサギだよな？」

ウサギ『ウィッキィ』

余りにも綺麗な立ち方をしているので、ゼンマイで動くおもちゃだと思ったが、どうも自分の意思で動いているようだ

初雪「………暖かそうだな、お前俺のマフラーになってくれよ」

ウサギを抱え上げようとすると

ウサギ『ウィッキィ』

俺の手の先をかすめて、反対側に着地した

初雪「………え？」

気付くと俺の手にあったはずの千円札が消えていた
ウサギの方を見てみると口に何か紙切れをくわえている

ウサギ『ウィッキィ』

タッタッタッ

しばらく状況が掴めずに固まっていたがやっと状況を理解した

初雪「ウサギに擦られた⁉︎」

辺りを見回してみるがウサギの姿はもう見えない

初雪「畜生‼︎俺の千円札を返せ‼︎」

とにかく俺は走った
しかし、ウサギはまったく見つからず気付けば俺の住む旧市街地にたどり着いていた

初雪「チッ、あのウサ公何処に行きやがった」

⁇『うう、ひっく………うぇぇん………』

旧市街を歩いていると泣き声がした
こんな時間帯に誰だ？
この辺のエリアはゴーストの噂があるため、不良ですら滅多に立ち寄らない
それを誰が………
大通りを歩いていたら声の発信源を発見した
一つの廃ホテルの前に白いドレスに身を包んだ美少女が子供のように泣きじゃくっていた
ゴーストじゃないかと警戒しながらも声を掛ける

初雪「大丈夫か？」

⁇『へ？』

少女は驚いた様子で俺の方を見た

初雪「なにしてんだ？」

⁇『探し物』

こんな時間にこんな所に探し物なんて変わった奴だ
一体何を探しているのやら

初雪「何探してんだ？」

⁇『ウサギ』