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その34 side F ページ34

自室で一人、本庁への報告書を作成していたが
どうも手に付かず手を止める。








__みんな死んでしまった筈だった。






松田、萩原、伊達、ヒロ。


僕と関わった奴等はまるで呪われてでもいるのかのようにその姿を消してしまう。






救えたかもしれないヒロですら、僕は救えなかった。







__だが。









「……お前は生きていたんだな」







クシャリと前髪をかきあげ、部屋に飾ってある数少ない写真の一つを手に取る。







少し不貞腐れた僕と、控えめに笑うヒロ。
そして、そんな僕とヒロの間に入り屈託の無い笑みを浮かべている戸田。








これは高校卒業の時、戸田の母親が折角だからと
撮ってくれたものだ。







あれ以来彼とは音信不通になり、戸田まで死んだのでは。
そう思い始めていた時だった。









降谷零としての潜入捜査と、

安室透としての探偵業で戸田と再会を果たしたのだ。





大人になり少し痩せたものの、あの時と雰囲気は同じで、安堵したのもつかの間。






「…俺は、君のことを覚えていない」






そう告げられ、背後から殴られたような衝撃を受けた。


__戸田は記憶力が人一倍良い方だった。
瞬間記憶、とまではいかないが見たものを暗記することに長けていた。



そんな彼が僕の姿を見て何も言わなかった事に、何故気付かなかったのだろうか。






頭は思考を纏められていなかったが、連絡先を書いた紙を彼に渡してある。

これでもう音信不通になる事もなく、
何故覚えていないのかを落ち着いて聞くことができる。













「…だが」






__何故彼は安室透に依頼をしたのだろうか。

通常、ストーカー被害ならば警察に行くだろう。
それをただの探偵である安室透へ依頼した。


…まだ実質の被害はない、と言っていたから警察は控えたのだろうか。






現実、ストーカーによる実害が無ければ警察も動かないだろう。彼の判断は間違ってはいない。











__机上の空論をしていても仕方がない。








グッと身体を伸ばし、手を止めていた書類へと戻る。












「……戸田」







お前に何があったのかを


僕は何も知らない。

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設定タグ:名探偵コナン , 転生? , トリップ?   
作品ジャンル:アニメ
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あお果実(プロフ) - とても面白いです!これからも応援しています(*´∀`) (2019年3月28日 12時) (レス) id: 11c4dc89d1 (このIDを非表示/違反報告)
おと姫と愉快なサカナたち(プロフ) - この世界観好きだ…更新待ってます! (2019年3月26日 11時) (レス) id: e21618e8ed (このIDを非表示/違反報告)
ユウナ - とっても面白いです!更新楽しみにしています。頑張って下さい! (2019年2月18日 20時) (レス) id: 9d0d0719af (このIDを非表示/違反報告)
佐峅@岩動(プロフ) - ノルゼリイさん» コメントありがとうございますー!中々の苦労人ぶりに作者自身こうなるはずでは…!と嘆いていま(せん) パソコンは……成り行きですね!壊しちゃいました…。更新頑張っていきます! (2019年2月15日 12時) (レス) id: 1d5638e044 (このIDを非表示/違反報告)
ノルゼリイ(プロフ) - 久しい更新嬉しいです!どんどん苦労人へと変化しちゃいましたね……パソコンなんてやばかったですもん。これからも楽しみにしてますー (2019年2月15日 12時) (レス) id: 8f5d447aaf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:佐峅 | 作成日時:2018年11月12日 0時

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