その15 ページ15
俺は動じていないように装って『どうしてそんなこと聞くんだ』と彼に問いかけた。
内心荒ぶってるが。
久々にそんなこと聞く奴来たもんだから正直暴れたい。
「いや、僕…その」
「怒らねぇから言ってみ」
だから早く言えとヒロ青年に促すと
彼は少し狼狽えながらも口を開いた。
「__僕、馬鹿みたいに不幸体質で」
「は?」
単に楽したいからとかそういう答えが来ると思ったんだが、そう来たか。
「その顔はそうでもないと思ってますね!?
外に出るたび暴風が吹いたり、行く先行く先店が全部閉まってたり、挙げ句の果てには刺されたところが急所じゃないのに失血死!!!
その不幸を背負ったまま新たな世界へですか??
そんなの僕には耐えられません!!!」
俺の胸ぐらを掴みグラグラと揺らしている青年。
待ってくれ、ちょっと、頭も、揺れ、てる。
「っ吐く……ゔっ…」
「…あぁぁぁ!?!?!すみません!すみません!
ついカッとなって…」
ハッと気づいたヒロ青年は手を離したため、俺は死なずに済んだ。__いやこの空間で俺は死ぬのか?答えは定かではない。
「……ふう、まあ、とりあえず結論から言うと
お前のその不幸体質を変えるのは無理だ」
そう言うと目に見えて落ち込む彼。
__俺は神じゃない。
戸籍を作ったり金を生み出したりすることは
…まあ出来なくはないが、
体質を変えることは
その人物そのものを変えることになりかねないだろう。
そもそも俺にそんな権限はない。
あったとしてもやりたくはない。面倒だ。
…だが、そうだな。
「…元はと言えば俺が蒔いた種だ。
不幸を回避する援助ぐらいはしてやる」
普段なら特別移住者とは基本関わらないのだが
今回は俺が勝手に彼を引き抜いてしまった。
いや、こっちに来るのは決まってたにしても
少し時期を早めてしまったのも事実。
最低限彼が生きやすいようにサポートしなけりゃ
後味が悪い気がする。個人的に。
「!!それじゃあ…!」
「…かなり、とてつもなく、比べるまでもなく、
今までよりも、断然 面倒なんだが、
お前の異世界移住に付き合うっつってんだよ」
そうぶっきらぼうに言うと
目の前の男は嬉しそうに叫び俺に抱きついてきた。
「僕、お兄ちゃんほしくて!」
「お前それが狙いか」
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あお果実(プロフ) - とても面白いです!これからも応援しています(*´∀`) (2019年3月28日 12時) (レス) id: 11c4dc89d1 (このIDを非表示/違反報告)
おと姫と愉快なサカナたち(プロフ) - この世界観好きだ…更新待ってます! (2019年3月26日 11時) (レス) id: e21618e8ed (このIDを非表示/違反報告)
ユウナ - とっても面白いです!更新楽しみにしています。頑張って下さい! (2019年2月18日 20時) (レス) id: 9d0d0719af (このIDを非表示/違反報告)
佐峅@岩動(プロフ) - ノルゼリイさん» コメントありがとうございますー!中々の苦労人ぶりに作者自身こうなるはずでは…!と嘆いていま(せん) パソコンは……成り行きですね!壊しちゃいました…。更新頑張っていきます! (2019年2月15日 12時) (レス) id: 1d5638e044 (このIDを非表示/違反報告)
ノルゼリイ(プロフ) - 久しい更新嬉しいです!どんどん苦労人へと変化しちゃいましたね……パソコンなんてやばかったですもん。これからも楽しみにしてますー (2019年2月15日 12時) (レス) id: 8f5d447aaf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佐峅 | 作成日時:2018年11月12日 0時