第85話 ページ5
「何の日……?」
今日は三月最初の日曜日
センター試験は勿論終わってるけど高三にとっては大事な時期
そんなこの日は、何の日かって…
受験の発表日?いや、違うよね
「やっぱり……覚えてないかな」
カサ…ッ
…何か当たった……?
手に何かが当たって、音が鳴る
その音がする方を横目で見てみる
リボンで包まれた、綺麗な箱だった
多分、プレゼントか何かだ
「……明日、記念日だろ」
…ああ、そうだ
今思い出した…
「そういうのは大切にした方が良いって……思ってたから」
照れ臭そうに横を向いて、頭をかく
……私たちの交際期間は、364日
一年も経たないまま、物語は終末を迎えた
「最後の記念に……貰ってよ」
儚い笑顔を向ける真琴先輩
その顔に、胸が締め付けられる
「……はい」
箱を机の上に置いて包装紙を剥がす
「腕時計…」
薄い緑とシルバーで塗られた鎖状のベルト
その所々には、花のアクセサリーが装飾されていた
「前、腕時計が壊れたって言ってたから」
ヘラッと笑う真琴先輩は、やっぱりいつも通りに見えた
珍しく、表情の変化が激しい
「でも私…貰えないです」
もう彼女じゃないし……こんな高いの…
「…………ごめん。俺、やっぱり無理だ」
沈黙を破ったのは、真琴先輩だった
「Aと、別れたくない」
机に手をついて、前のめりで私にそう訴える
ガタッ
机を隅に避けてより私に近付く
「…っ」
真琴先輩が近付く度に、少し後ろに後退りしてしまう
キシッ
ベッドに手をついた所で、真琴先輩が止まる
「一年待つって、約束したよね……俺たち、何の約束も守れてない」
大きな声のトーン
いつもとは違う、少し荒い声
「私も守りたかった…っ、けど…」
「けど?」
…答えられない
兄さんが好きだから、なんて言えない
「理由は、言えないけど……もう、立て直せないんです、私たちは」
「俺に悪い所があるならなんだって直すよ…俺は、この一年間、Aが一番大切だった」
真剣な顔で、そう言われた
告白された時より、胸が高鳴る
でも、好きだからドキッみたいな感覚じゃなくて……
どうして私に、固執するの?
真琴先輩には私より良い人がたくさんいる
勿論、七菜香もその一人に入ってるはずでしょ
七菜香とだけは付き合わないで、なんて言わない
真琴先輩の好きにすれば良い
だけどもう、私は真琴先輩の隣にはいれないんだ
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初音ツバキ(プロフ) - 永遠の高校生さん» ええ!?大丈夫ですか??(;゜0゜)お返事が遅くなって申しわけありませんが、コメント本当に感謝です!励みになります!これからもどうぞよろしくお願いします! (2015年11月2日 18時) (レス) id: 5a96c81bd9 (このIDを非表示/違反報告)
永遠の高校生(プロフ) - 泣きすぎて、脱水症状が出るところでした。 (2015年10月28日 23時) (レス) id: c000b33630 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぅか - 真琴との別れのところでは、涙が止まりませんでした…。時間が掛かってもいいので次は幸せになってほしいです! (2015年7月30日 11時) (レス) id: 9e29681e3d (このIDを非表示/違反報告)
初音ツバキ(プロフ) - くみさん» ありがとうございます!m(_ _)m最後まで嬉しい言葉の数々…!感謝しきれないくらいです(T . T)これからもどうか宜しくお願いします (2015年5月14日 22時) (レス) id: 5a96c81bd9 (このIDを非表示/違反報告)
くみ - こんばんは(*´▽`*)すごく面白かったです!宗介とずっと幸せでいられますように☆続編&新作すっごく楽しみです! (2015年5月14日 19時) (レス) id: 64d3ef2010 (このIDを非表示/違反報告)
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