第95話 ページ15
「一つ目、これ……七菜香にあげたの?」
あげた?
…どういう事?
大事にしてたネックレスを七菜香にあげるわけないでしょ
「あげてません…」
もしかして、失くなってた理由は、七菜香が盗ったから?
最低だよ、七菜香……
「じゃあ……これは?」
そう言って真琴先輩が見せたのは携帯の画面
そこには、私と兄さんがキスしてる写真が載っていた
「なんで……?!」
さっきのだ、これ
こんなの盗撮と一緒だよ?!
真琴先輩はこんな事する人じゃ…
「七菜香から送られて来たんだ。宗介だよね、これ」
…………七菜香、どうして?
七菜香は真琴先輩の唇を奪った
私からネックレスだけじゃなくて、真琴先輩までを取ろうとした
今度は、兄さんまで奪うの……?
「答えてくれるまで……帰らない」
ドンッ
私の背中には硬い壁の感触
耳元に頭を寄せる真琴先輩の吐息が聞こえる
私の真横には、真琴先輩の腕がある
真琴先輩、ごめんなさい
貴方も辛いはずなのに……
でも、私も辛いよ…
「もう……全部失くなってしまえば良いのに!!」
不思議と、涙は出なかった
私の叫び声だけが家に響き渡る
ガチャ
そんな大修羅場の現場に、兄さんが帰って来た
やっぱりポカンとしていた
「真琴……?何でいるんだ?」
「……ごめん、俺もう帰るね」
パタンッ
荒々しくケータイを閉じて兄さんの横をすり抜けて外へ出て行った
追いかけても、無駄だ
ペタッ…
脚の力が抜けて、床にペタリと足をつける
「私……そんなに悪い事したかな」
真琴先輩、ごめんなさい
優姫も、七菜香も……ごめんね
兄さんを好きになる事が、こんなにも人を傷付けるなんて思わなかった
「逃げたい……ここから、逃げ出したい…」
人生であんなに怒って大声を出した事なんて無かった
もう嫌だ……
「じゃあ、俺について来い」
私の頭をくしゃっと撫でて、手を引っ張る
無理やり立ち上がらせられた私は、兄さんの手を握る
兄さんはレジ袋を手に取り、走り出した
離れないように、私の手をしっかり握ってくれていた
ー海岸ー
電車に乗って連れて来られたのは、綺麗な海だった
私の来た事のない、綺麗な海
兄さん重度の方向音痴なのに……
「……昔、親父に連れて来て貰ったんだ。お前がまだ一歳の時だった」
父さんに……
「それからも何度か来てる。東京から帰って来てここに来るのは初めてだけどな」
「ふぅん…」
そう喋りながらコンクリートの階段に腰を下ろす
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初音ツバキ(プロフ) - 永遠の高校生さん» ええ!?大丈夫ですか??(;゜0゜)お返事が遅くなって申しわけありませんが、コメント本当に感謝です!励みになります!これからもどうぞよろしくお願いします! (2015年11月2日 18時) (レス) id: 5a96c81bd9 (このIDを非表示/違反報告)
永遠の高校生(プロフ) - 泣きすぎて、脱水症状が出るところでした。 (2015年10月28日 23時) (レス) id: c000b33630 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぅか - 真琴との別れのところでは、涙が止まりませんでした…。時間が掛かってもいいので次は幸せになってほしいです! (2015年7月30日 11時) (レス) id: 9e29681e3d (このIDを非表示/違反報告)
初音ツバキ(プロフ) - くみさん» ありがとうございます!m(_ _)m最後まで嬉しい言葉の数々…!感謝しきれないくらいです(T . T)これからもどうか宜しくお願いします (2015年5月14日 22時) (レス) id: 5a96c81bd9 (このIDを非表示/違反報告)
くみ - こんばんは(*´▽`*)すごく面白かったです!宗介とずっと幸せでいられますように☆続編&新作すっごく楽しみです! (2015年5月14日 19時) (レス) id: 64d3ef2010 (このIDを非表示/違反報告)
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