第2話 ページ3
「ねえ、今日泊まっても良い?」
おかしい、こいつの頭は狂ってる←
普通の女子は、俺にこんな事は言わないはずだ
こんな時期に、そして男の俺にそんな事を言うなんて…どうかしてる
しかも付き合ってもいないのに、だ
「駄目だ。大体、親に連絡してないだろ」
「したよ、ハルちゃんの家に泊まるねって」
…まさか……
「おい、それ絶対勘違いしてるだろ」
「どうかな?でも事実を言っただけだよ?」
したり顔でこいつは言う
Aの親は俺の事を女だと思ってる
いつもは絶対ハルちゃん、だなんて呼ばないくせに…←
「はあ、そこまでして泊まる必要があるのか」
考えてみれば、俺も同じだった
Aの気持ちを知っている上でこんな質問をする
「だってここにいた方が楽なんだもん」
「意味が分からない」
ノートを閉じて鞄に入れる
エプロンを取って、畳んでいた跡を
少し伸ばす
「ねえ、お願い」
そんな声がして、案の定振り返ると俺のノートを見せつけるように前に出していた
刀のように細くした手の内を見せながら、おねがいのポーズを取ってる
いつもだ、俺に頼み事をする時は、いつだってこうだ
ノートで釣る←
しかも英語のノートだ
どっから取り出したのやら…
……まあこいつはノートを書くのが得意で、簡潔に綺麗にまとめる
そのノートは一年の時から教師にも定評がある
これまで使っていた、Aがいらない、と言ったノートは手本として取っている教師もいる
「……鯖だぞ、今日」
箸をもう一膳取り出して、軽く洗う
普段は使わない、母さんの箸だ
……最近、こいつが使うけどな
「やった、ありがと遙」
少しヘラリと笑うA
微笑むような、そんな笑顔
俺に礼を言った後、すぐに机に向かってノートを書き出す
ジューッ
……良い匂いだ
今日の鯖は良い色してたからな
「あ、ねえ遙」
「なんだ」
「今度さ、絵描いてね」
「…は?」
絵?
「Aの絵、特選貰ってたでしょ、すっごく綺麗だったから、私も描いて欲しいなーって」
「…そうか」
俺の絵なんて貰って何が嬉しいんだ
そんな事は考え飽きた
馬鹿みたいだろ、こんなの
さっさと伝えれば良いのに……
もうすぐ大学も別れるから
そんな理由をつけて、俺はAに気持ちを伝えようとはしない
Aもそんな理由だろう
……似てるんだ、俺たちは
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初音ツバキ(プロフ) - azusaさん» ありがとうございます!! (2015年5月23日 19時) (レス) id: 5a96c81bd9 (このIDを非表示/違反報告)
azusa - ハルちゃん大好きです!これからも頑張ってください!! (2015年5月23日 19時) (レス) id: 8c1e5d9296 (このIDを非表示/違反報告)
くみ - もちろんですよ♪リクエストもいくつも聞いてもらってありがとうございます! (2015年5月16日 0時) (レス) id: 64d3ef2010 (このIDを非表示/違反報告)
初音ツバキ(プロフ) - くみさん» ありがとうございます!この小説は早く終わると思うのですが、どうぞ応援よろしくお願いしますm(_ _)m (2015年5月15日 21時) (レス) id: 5a96c81bd9 (このIDを非表示/違反報告)
くみ - こんばんは!こちらの作品も素敵です☆続きが楽しみです! (2015年5月15日 21時) (レス) id: 64d3ef2010 (このIDを非表示/違反報告)
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