第1話 ページ2
「…遙、ここ間違ってる」
髪を耳にかけながらそいつは言う
ボーッとしてる時、こいつはいつもすぐに気付く
気付いて指摘してまた笑顔に戻る
いつからだろうか、こんな関係になったのは
俺の家でたまに勉強会をする
しかも二人きりで
こいつは頭が良い
だから教えてもらえる事はすごく助かる
けど、その理由が分からない
俺は悪い方では無いし、特に問題も起こして無い
なのにいつからか、こいつと一緒にいるようになった
「A」
「何？遙」
こんな風に、名前を呼び合いながら
でも、本当は気付いてる
こいつが、俺の事を好きだって
そしてそれは、こいつも気付いてる
俺が、Aを好きだってこと
互いに気付いてるのに言わない
それは謎の暗黙の了解だった
たった一言、好き、と伝えれば良い
それなのに無理なんだ
俺たちは、これ以上近付くことは出来ない
「……呼んだだけだ」
行き場を無くした俺の手は、少し動いて膝に乗せる
「なにそれ」
遠慮がちにAは笑う
その姿が、愛おしくて
噤んだ口を戻して、唇を舐めるAの癖
出会った当初から気になっていた
その仕草が癖だと気付いた時、どうしようもなく好きになった
愛おしくて、仕方がなかった
だけどその想いは告げられないまま
膨らむばかり
「遙は東京で水泳続けるんだよね」
何となく、そんな考えで言ったんだろう
けれどその台詞は、どこか寂しそうに聞こえた
「ああ、お前はどうするんだ」
ずっと聞けないままでいた、そんな質問
「私は真琴と同じ大学志望。難しいんだよ、あそこ」
Aは手を止めて、目を見て話す
いつもだ、こいつは
何気ない会話でも、絶対に手を止める
だけどそれは俺だけにじゃない
真琴にだって、他のクラスメートにだってそんな態度だ
…だからムカつく
「そうか」
もっと、いい返し方があるはずだ
会話を長くする方法があるはずだ
真琴だったらずっと喋っていられるだろう
…なんで俺は出来ない？
「遙が有名になったら……私なんか忘れちゃうかもね」
時々、思うんだ
こいつはわざとこういう事を言うのかって
答えを分かっていて尚、こんな質問をする
そう思ってる
「忘れるわけ無いだろ」
「…そっか」
例えそれが計算だとしても、俺はお前の望み通りの答えを出す
それが本心だ、嘘を吐く必要なんて無い
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初音ツバキ(プロフ) - azusaさん» ありがとうございます！！ (2015年5月23日 19時) (
レス) id: 5a96c81bd9 (このIDを非表示/違反報告)
azusa - ハルちゃん大好きです！これからも頑張ってください！！ (2015年5月23日 19時) (レス) id: 8c1e5d9296 (このIDを非表示/違反報告)
くみ - もちろんですよ♪リクエストもいくつも聞いてもらってありがとうございます！ (2015年5月16日 0時) (レス) id: 64d3ef2010 (このIDを非表示/違反報告)
初音ツバキ(プロフ) - くみさん» ありがとうございます！この小説は早く終わると思うのですが、どうぞ応援よろしくお願いしますm(_ _)m (2015年5月15日 21時) (レス) id: 5a96c81bd9 (このIDを非表示/違反報告)
くみ - こんばんは！こちらの作品も素敵です☆続きが楽しみです！ (2015年5月15日 21時) (レス) id: 64d3ef2010 (このIDを非表示/違反報告)
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