【歌い手】双子の歌い手は正反対なようです。part3

第130話　赤 ページ38

最近自分のターン忘れる←

彼方side

さっきまでベースを持っていた俺。

今はステージのセンターにいる。


つまり


俺が主役だ。



…ごめんなさいカッコつけました。

ソロなんて久しぶりだから結構緊張してる。


さっきまで持っていたベースもスタンドに置いた。

玲音さんがきっとちゃんとしてくれる。


彼「一ノ瀬です。聞いてください。」


曲名は言わずに始める。

ドラムスティックのカチカチという音を聞いて

俺は歌い始める

彼「また月は昇る 今日が終わり出す」


この曲は『回る空うさぎ』

ピアノ伴奏で出来ている曲。

だけど今回はバンドアレンジをされている譜面で歌っている。


最初は原曲通りピアノだけ


そして途中からベースが入り全体の土台を作る。


最後にはピアノのオクターブの動きをギターでやるようになっている。


ベースは簡単な刻みだけど、ピアノの下に潜り込むように入るため弦を強く弾かなければいけない。


これは俺なら力も技術もあるためこなせるが、玲音さんには俺に比べると力も弱く技術も少ない。


でも、luzに直々で教えて貰った玲音さんならできる思っている。


彼「また夜空一周に 満たして欠いて流れる」


ここからベースが入ってきた。

天月は左手を右手の援助に回し低音域を触れないようにした。


ベースの音は自然と全体に馴染んできた。


練習の成果出てるな。


まだ少し音は弱いけど充分だ。


そしてサビ。

ここまで少し気持ちを抑えて静かめに歌ってきた。

この曲は俺の歌声にピッタリハマっていると思う。

楓や奏に実力は叶わないかもしれない。

でも今ならここにいる全員の心を響かせるような歌を歌える。

そう確信した。

彼「遥か 月を目指した Ah 今日の空は」


Ahの所はいきなり高くなって出しにくいけど、AtRで鍛えられてる為大丈夫←


彼「彼方 西に流れた」

俺の名前、彼方と出てくる場所は

少し静かになる。


ここでグッと心を掴めるように、そう歌った。


彼「夢じゃないや」


俺の歌は終わった。

でも俺の曲はまだ続いている。


天月のキーボードが終わるまでまだ終わらない。


そして天月が最後の1音を鳴らす。


彼「ありがとうございました」


一礼してまたベースを持った。


ベースを置いた玲音さんがステージを出る前に

玲「さすがです。心奪われました。」

彼「盛っただろw」

微笑みながら出ていった玲音さん。



楓の心を奪えてたら

いいのに

第131話　赤→←第129話　月

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す