透けた涙 ページ1
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「あ〜！空気が美味しい〜！」
思わず鼻歌と喜びのダンスが止まらない…！
あ〜幸せだ。
これからキラキラした大学生活が始まる。
初めて大学生としてくぐる正門。
まだ誰もいない校庭。
花壇にチラホラと隠れているモンシロチョウ。
澄んだ青空。
太陽と一緒に空を泳ぐスズメたち。
そして、
淡いピンク色の桜！…………って、え？
『お、…は、……んん"……』
桜の木に向かって
何やらブツブツと呟いている女の子を発見。
なんて言っているのかはわからないけれど
とにかく必死で
桜の木に何かを訴えているように見える。
1歩、1歩、
その必死な背中に近づいてみる。
女の子は未だ俺に気づかない。
どうしよう、
なんて話しかけよう？
「あの…1年生ですか？」
『…っ…？！』
ビクッと体を震わせる女の子。
ああ、脅かすつもりじゃなかったのに。
「ごめんなさい、びっくりしちゃうですか？」
『…くすっ』
「あっ、びっくりしちゃった…ですか？」
『…っふ』
むむむー！日本語ムズカシイ…。
女の子はうつむき加減で
俺のカタコト日本語に笑ってる。
でも良かった、怪しい人だとは思われてないみたい。
「ところで…さっき、何してた、ですか？」
『ぁ……』
俺が尋ねると急にバツの悪そうな顔をする彼女。
そしてすぐに頭を抱えて、俯いてしまった。
俺、変な事聞いたかなぁ？
『……』
「ごめんなさい、なんでもな……」
俯く君の顔をそっとのぞき込んだ
途端、俺は言葉を失った。
.
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透けた涙に濡れた瞳がやけに美しくて
目の前が一気に、透明な世界へと化した。
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作者名：すん。 | 作成日時：2018年9月6日 23時
