【ツキウタ。】ツキノ寮には、天然バカと訳あり少女が居るようで。2【卯月新】【霜月隼】 (ページ8)

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訳あり少女*23話ページ8

隼サイド↓

陽「ただいまー。」

螺旋階段から上がって来た陽がそう言うと、皆は口々におかえりと言った。

陽「夜ー、食材これでいいかー？」

夜「えーっと…うん、大丈夫だよ。ありがとう、陽。助かったよ。」

陽「別に礼を言われる事してねーよ。ま、これの貸しは後々返して貰えれば。」

夜「はいはい、リクエストでしょ。じゃあ…明日の夕ご飯ね。」

陽「よしっ。」

ガッツポーズをとる陽。
どうやら、明日は陽のリクエストで作るらしい。

…っと、今は年中組を見て微笑んでる場合じゃない。

今は彼女を安心させないとね。

僕はソファーから降り、いつもと様子が違う彼女の方へ行く。

「…志穂。」

声を掛けると、彼女はビクリと肩を震わせて、恐る恐る顔を上げた。

志穂「…あ、っ……に、いさ……」

震えた声で言う志穂。…案の定、怯えていた。

僕は自分の方へ志穂を引き寄せる。

「志穂、大丈夫だよ。ここには“あの人達”はいない。…何も、怯えなくていいんだ。」

出来るだけ優しく、囁く様に、催眠(おまじない)を掛ける。

…まだ、救う時じゃない。
まだ、手を差し伸べる時じゃない。

このまま甘やかしたら、彼女は僕に依存してしまう。

僕のおまじないが効いたのか、志穂は小さく「うん」と呟いた。

「…志穂、自分の部屋で休んでおいで？ここにいるのは、辛いでしょ？」

志穂「…で、も、そしたら、また、私…っ」

あぁ、また過去と重ねて見てる。
これは、志穂の悪い癖だね。

「大丈夫さ。僕が志穂のこと、守ってあげるから。」

志穂「…本当？」

「あぁ、本当だよ。だから、部屋でゆっくりおやすみ。」

志穂「…うん、分かった。…ありがとう、兄さん。」

彼女は小さく笑うと、自分の部屋へと歩いて行った。

＿＿＿さて、もうそろそろ、かな。