【ツキウタ。】ツキノ寮には、天然バカと訳あり少女が居るようで。2【卯月新】【霜月隼】 (ページ17)

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訳あり少女*28話ページ17

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隼サイド↓

海「いやー助かった。隼、ありがとう。」

涙がヤマトと遊んでいるのを確認した後、海はそう言って男らしい笑みを浮かべた。

「いえいえ。海は隠し事が苦手だしね。まぁそこが、海のいい所でもあるのだけど。」

海「隠し事はどうしても…な。それより、隼。志穂ちゃんは…」

そっ、と海の口元に人差し指を置く。

「…もうすぐだから、ね。」

そう、もうすぐなんだ。

もう１番酷い時期が終わったから、もうすぐでまた彼女は普通に戻れる。
海が見たのは、まだまだ本の一部に過ぎない、軽いものだった。

海「隼…お前が志穂ちゃんを守ろうとしたいのは分かる。けど、流石に俺達も知りたいんだ。…志穂ちゃんに、一体何があったんだ？」

真剣な目で真っ直ぐに、僕を見つめる海。
それはまるで、僕の心を見透かしている様に見えた。

「…1週間後。志穂が落ち着いたら、皆を集めて話すよ。彼女の過去も、今の状態になった原因も、全て。でも、まだ待っていて欲しい。…今の状態ではまだ、皆に会わせられないからね。」

海「そうか。…志穂ちゃんの状態は、アイツらに言わない方がいいんだよな？」

「うん、お願い。」

隠し事が苦手な海にこんなことを頼むのは正直気が引けるが、しょうがない。
知りたいと思ったのは、彼自身だから。

…先程、海が言った言葉がやけに心に刺さった。

『お前が志穂ちゃんを守ろうとしたいのは分かる。』

…海、僕はね、彼女の兄なんか(を守っているん)じゃないよ。
彼女が誤解されないよう、僕が手を回しているだけ。
ただ、彼女を束縛している(離したくない)だけの、僕のエゴだよ。

…なんて、らしくもないな。
彼女のことになると、どうしても弱くなってしまう。
それは、出会った時から変わらないことだった。

…いや、やめよう。
今は、僕(そんなこと)を考える暇なんてない。

まずは、1週間後に志穂が、ここに来られる様にしてあげないとね。

…その時、僕はすっかり忘れていた。
明日、大(大人)がここに来る事を。

あぁ、僕は何をしているんだろう。
僕のエゴ(守る行為)が彼女を傷付けてしまった。

＿＿僕にはまだ、尽きせぬ想い(・・・・・・)が絡み付いている。