雪恋。

１３ ページ13

重岡の彼氏っぽい言動に、
嬉しいくせに、気持ちが追いついていかなくて。


「別にいつもと同じ。
違わないよ・・・」


素直じゃないこと言って、
チョコの箱を締めて、リボンをかける。


「全然普段とちゃうやんか。
めっちゃ甘えた顔してんで？
無意識なん？」


顔から火が出るほど、
恥ずかしくさせる重岡は、やっばり意地悪だ。


「べ、つに、甘えてなんか、・・・」


立ち上がった私を、
重岡が抱きしめた。


「嬉しい。
もっと甘えて欲しい」


スーツの肩は思ったよりずっと広くて、
胸がきゅんて鳴く。


「いいの？
私、重岡のこと、
重岡が思うよりずっと、
・・・」


好きだよ、って、言いかけて、
急に照れてきた。


「ずっと何？
はよ言うてや」


予想通りに急かされる。

改めて言うなんて、無理。

それより、ずっと、
この腕の中にいたい・・・


「もういいの」


「なんもようないわ。
ずっと、何？
・・・聞きたい」


重岡の声も苦しそうで・・・


ふと顔を上げたら、
切ない目してて。


「ずっと、わがままかもよ？」


好きって伝えるのは、恥ずかしくて、
ごまかしてしまった。


「わがままてどんなんやろ。
楽しみにしとくわ」


余裕の答えに、
甘えたくて仕方なくなる。


「寂しがりだから、
結構大変だよ？」


「うん。
なんとなく知ってた」


「そうなの？」


「分かるわ。
３年も同期やってんねんから」


「そっか・・・」


「ちゃうわ。
ずっと好きやったから。
知ってた」


ずっと知りたかった顔。

こんな優しい目で、
こんな切なげな声で、

好き、を言うんだ。


「重岡も、好きとか、言うんだ。
びっくりした」


私の言葉に、
重岡、呆れてる。


「なんやねん、それ。
俺はそんなん言わん思ってたん？」


拗ねた感じで、
私のおでこ、突っついてくる。


「うん。
だって、いつもふざけてるから」


「決める時は決めなあかんやろ。
これでも男やし」


威張った顔してるけど、
真っ赤になってる。

可愛いの。

そう思った途端に、


「好きやから。
俺と真剣に付き合って欲しい」


急に真面目な顔して言うのは、ずるい。

また、目の奥がツンとなる。


「ん、・・・」

１４→←１２

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す