part57 ページ8
夏休みが終わった。久しぶりの学校に、米津と2人で登校する。結局新曲が完成する前に二学期が始まってしまった。まあ、仕方ない。二学期も行事が沢山だ。文化祭に、修学旅行に、それから、それから。学校に着いて、また校長の長ったるい話を聞く。こんな集会2分で終わらせようや。隣に座ってる米津は眠いらしくてたまに欠伸をしたり目をこすっている。掃除をして、HR。先生がなにか袋を持ってきて、まさか、なんて思う。
「二学期だし、席替えすんぞー」
そんな。俺と米津はお互い顔を見合わせた。今の席でいい。違う。今の席がいい。そんな思いも虚しくくじを引く順番はくるもので。渋々引いて、席を確認する。まだ、比較的後ろの方。エアコンの近くだ。米津がくじを引いて戻ってくる。
「どこだった?」
「んー。真ん中あたり」
米津が手に持っている紙を覗く。そんなに離れてはいないけど、今まで隣だったから、やけに遠く感じた。机を動かして、米津とばいばいする。新しいご近所さん達に挨拶して、その日は終わった。米津と帰りながら、ぽそりと洩らす。
「…離れちゃったなあー」
「たいして離れてないけど、隣からだと遠く感じるよね」
「それなぁ…。前の席のがよかった…」
項垂れて、しょんぼりする。米津は俺の頭を軽く撫でて、笑った。
「まあ席が離れてもこうして一緒に登下校できるし、それに、ハチとヒバリとしても一緒だし。」
「でもさー。俺米津の隣が1番落ち着くよ」
「かわいいこと言ってくれるじゃん」
「だーりんだもんな」
「同じ墓に入ろうか」
「ゴールがはええよ」
2人して笑う。米津にとっては日常会話のひとつにしかすぎないだろうけど、俺は口説き文句みたいで内心ばっくばくだ。日常会話に織り交ぜていけば洗脳されたりとかないのかな。ないか。米津が嬉しそうにしているのに気付かない俺は確率を上げる方法がないのか必死に模索していた。
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洋梨 - 続編おめでとうございます!1も2もちょくちょく小ネタが入っていて良すぎます… (2020年8月18日 3時) (レス) id: 536671a358 (このIDを非表示/違反報告)
灯巴里(プロフ) - 、さん» 忘れてました!すみません、ありがとうございます! (2020年8月16日 11時) (レス) id: 606c2e578b (このIDを非表示/違反報告)
むぎまる(プロフ) - 凄い…もう2まで行ったんですね!面白くて更新来るのいつもワクワクしてます笑頑張ってください´ω` (2020年8月16日 10時) (レス) id: db5695a9c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灯巴里 | 作成日時:2020年8月16日 4時