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part91 ページ42

「準備できたよー、って、どうしたの、それ」
「ん?かわいかろ?」

米津がひょこりと顔を出してきて俺を見て、怪訝そうな顔をした。俺はに、と笑ってその場でくるりと回ってみせる。膝丈くらいのスカートがふわりと舞った。

「…いや、国宝級に可愛いけど、なんで?そんな趣味あったっけ?」
「いや特にないけど」
「じゃあほんとになんで…」
「だってせっかくのクリスマスイブだぜ?堂々とデートしたいじゃん」
「もうほんと可愛いむり…」
「限界オタクで草」

そう、街を歩くのに男2人で手を繋いだりイチャついている光景は周りからしたら異様に見えるだろう。それに、クラスメイト達に遭遇する可能性もない訳じゃない。それを考えると、女装が1番大っぴらにデートできるのだ。勿論羞恥心はあるけどそれより隠れてこそこそしたくない気持ちの方が大きかった。メイク道具も買ったし、動画を見て勉強したから全然問題ないと思う。女の子から見たらちょっと不格好かもしれないけど。コートを着て、マフラーをつけて、ブーツを履いて米津に見せてやると、視線をさまよわせた後、ぎゅうー、と抱きしめられた。

「はー、ほんとかわいい。夜もそれ着たままやろうね」
「ばか。ほら、行くぞ、玄師」
「〜っ、ほんとに最高なんだけど…俺今日死んじゃうかな…」
「はいはい、死ぬ時は一緒だ。安心しとけ」
「はぁーイケメン」

手を繋いで街中を歩く。俺の女装に違和感を感じた人は見かける限りいないらしく、最初は少し気にしていたが、途中から自信を持って歩けるようになった。あんまり嬉しくはないけど。ケーキ屋に行って、2人でケーキを見つめる。

「ほあ…めっちゃ美味しそう…」
「どうする?ホール買う?」
「えぇ…悩むなあ…食べきれないんだよなぁ…」
「別に明日に回してもいいじゃん。それに1番小さいサイズ買えば2日で丁度いいんじゃない?」
「確かに…玄師天才か?」
「天才だよ。ほら、ショートケーキがいい?タルトもあるよ。」

じー、と見つめる。照明に当てられてきらきらしている綺麗なケーキ達。これは、結構悩むなあ。レジにいた店員さんがくすりと笑って寄ってきた。

「今朝とってもいい苺が入ってその苺でタルト作っているので苺のタルトとかおすすめですよ」
「え、そんな耳より情報いいんですか?」
「ふふ、特別ですよ?可愛らしいカップルさん達でしたので」
「じゃあタルトにしようかな、玄師、いい?」
「全然いいよ。じゃあ、お願いします」

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設定タグ:米津玄師 , 男主 , BL   
作品ジャンル:恋愛
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洋梨 - 続編おめでとうございます!1も2もちょくちょく小ネタが入っていて良すぎます… (2020年8月18日 3時) (レス) id: 536671a358 (このIDを非表示/違反報告)
灯巴里(プロフ) - 、さん» 忘れてました!すみません、ありがとうございます! (2020年8月16日 11時) (レス) id: 606c2e578b (このIDを非表示/違反報告)
むぎまる(プロフ) - 凄い…もう2まで行ったんですね!面白くて更新来るのいつもワクワクしてます笑頑張ってください´ω` (2020年8月16日 10時) (レス) id: db5695a9c3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:灯巴里 | 作成日時:2020年8月16日 4時

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