part90 ページ41
米津は家に着くなりぽこぽこと怒り出した。ごめんごめんと宥めながらココアを入れる。それから、2人でしばらくゆっくり過ごす。米津の足の間に挟まってスマホをいじっていると、昨日のネックレスの写真が出てきた。
「珍しいね、Aがそういうの撮るなんて」
俺の肩に顎を置いて後ろから覗き込んできた米津がそう言う。確かに珍しいとは思う。というか人のスマホは勝手に見るもんじゃねえ。
「んー。なんか、綺麗だなって」
「ふーん。」
その話はそこで終わったから特に記憶に残るようなものでもなかった。それから2人で夕飯を食べて、それぞれ風呂に入って、またココアを飲みながら2人で話して、寝室に行く。また一緒に絵を描いて、人体を描く時の人の骨と筋肉がどうとか、服のしわがどうとか、そんな話をする。夜も遅くなってきて、2人とも欠伸が多くなってきたから、寝ようよなんて言ってスケッチブックを机の上に戻す。
「そろそろ寝ようか」
そう言ってまたベッドに潜る。米津の腕が伸びてきて、体ごと引かれて密着する。
「近いんですけど…」
「いいじゃん。だめ？」
ちゅ、ちゅ、と額や頬に口付けが降ってくる。甘えたがるときに軽いキスを何度もしてくるのはこいつの癖なのかよくあることだと最近気付いた。優しくてなんだか安心するから俺も嫌いじゃない。仕方ないな、なんて言って大人しく受け入れてると米津は微笑みながら擦り寄ってきた。
「なーに」
「ううん。なんか、この1年で相当仲良くなったなあ、って思って」
「1年の振り返りすんのはやくない？」
「いいじゃん。おセンチになりたい気分」
「人を信じることを思い出した1年だったなあ」
「忘れてた？」
「忘れてた。ずっと疑ってた。米津は疑うことを知らなさそうだよな」
「失礼な。そんなに馬鹿じゃないよ。信じる心があるだけですー」
「名言じゃん」
「崇めていいよ」
2人でくっついてくすくす笑って。気がついたら2人とも眠りに落ちていた。
朝。
「目玉焼き半熟とかたいのどっちがいい？」
「半熟…」
「あいよー」
頼まれたように作る。俺も半熟のが好き。目玉焼きって言いたいことはわかるけどちょっとえぐいよね、名前。もうちょっとオブラートに包めなかったのかな。無理だったんだろうなあ。
「ほい」
「んー…いただきます…」
「はいいただきます」
まだ眠たいらしい米津と朝食を食べる。今日は2人でクリスマスケーキを買いに行く予定をしていた。クリスマスイブだし、料理もはりきりますよ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 70人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
洋梨 - 続編おめでとうございます！1も2もちょくちょく小ネタが入っていて良すぎます… (2020年8月18日 3時) (
レス) id: 536671a358 (このIDを非表示/違反報告)
灯巴里(プロフ) - 、さん» 忘れてました！すみません、ありがとうございます！ (2020年8月16日 11時) (レス) id: 606c2e578b (このIDを非表示/違反報告)
むぎまる(プロフ) - 凄い…もう2まで行ったんですね！面白くて更新来るのいつもワクワクしてます笑頑張ってください´ω` (2020年8月16日 10時) (レス) id: db5695a9c3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：灯巴里 | 作成日時：2020年8月16日 4時
