part88 ページ39
「あがったー」
「おう。先寝ててもいいかんね」
「んー」
ほかほかと湯気を出す米津がタオルで頭を拭きながら戻ってくる。寝室に行くよう促して、自分も風呂に入る。服を脱いだついでに洗濯機も回しておく。これで明日すぐに洗濯物が干せる。湯船に浸かると帰ってきた、なんて実感する。ゆっくりお風呂を楽しんでから部屋に行くと、ベッドですやすやと眠る米津の姿があった。律儀に半分くらいスペースを空けてくれている。優しい奴。素直に空けておいてくれたスペースに体を収める。ころん、寝っ転がって、横を向いて規則的な寝息を立てる米津の寝顔を見つめる。起きていると落ち着いていて、でもどこかお茶目で、かっこよくて、たまに可愛いけど、こう大人しく寝ていると年相応のあどけなさが残っているような感じがする。喉仏、かっくいいなあ。なんだか幸せそうな寝顔にこちらまで心がほんわり暖かくなる気がしてくる。
「おやすみ、玄師」
前にも言った記憶のある言葉だけれど、今回は前と違って本当にこぼれ落ちたような、そんな自然に転げ落ちてきた言葉だった。んん、とくぐもった声を出す米津が起きてしまわないように俺もさっさと布団を被って、米津寝てるし、なんて思って彼の胸に収まるように密着して目を閉じる。とくん、とくん、なんてゆっくりな鼓動が聞こえてきて、触れている部分からほんのりと温もりが伝わってきて、ふわりと米津の匂いと自分と同じシャンプーの匂いがして、幸せな空間に包まれて、とても安心感に満たされながら眠りについた。
「ん…」
目が覚めて、顔を上げるとにこにこしてる米津と目が合う。
「甘えたさんおはよう」
「…?おはよ…」
起きたばかりの頭では理解することができず、とりあえず挨拶を返す。抱きしめられるように回された腕と、逃がさないというように絡まれた足。そこで昨日米津にくっついて寝たこととそれに気付かれて密着していることに気がついて顔が火照る。
「寝てるからって甘えてくるなんてさ…。起きてる時もそれくらいならかわいいのに」
「は、恥ずかしいじゃん…。ほ、ほらもう離せって」
「え〜?今日は休みなんだしいいじゃん。寝起きのAあったかくて好きなんだもん」
「寝起き以外の俺は好きじゃないみたい」
「そんなことないって!」
そのまま2人でお昼まで布団の中ですったもんだして話したりしながら過ごしていた。段々と肌寒くなってきた。そろそろ、今年も終わる。
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洋梨 - 続編おめでとうございます!1も2もちょくちょく小ネタが入っていて良すぎます… (2020年8月18日 3時) (レス) id: 536671a358 (このIDを非表示/違反報告)
灯巴里(プロフ) - 、さん» 忘れてました!すみません、ありがとうございます! (2020年8月16日 11時) (レス) id: 606c2e578b (このIDを非表示/違反報告)
むぎまる(プロフ) - 凄い…もう2まで行ったんですね!面白くて更新来るのいつもワクワクしてます笑頑張ってください´ω` (2020年8月16日 10時) (レス) id: db5695a9c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灯巴里 | 作成日時:2020年8月16日 4時