part82 ページ33
「大阪〜…ついた！」
最後に着いたのは大阪。これからクラスごとにそれぞれ工場見学をして、お笑いを見て今日は終わりらしい。吉本新喜劇ってみんなずっこけるやつでしょ？絶対おもしろい。クラスごとにバスに乗りこんで、それぞれが工場先に向かう。俺らのクラスはビール工場だった。高校生にビール、いいのか？そんなことは置いといて、みんなで1列2列くらいでわやわやと連なって工場を上から見る。なんか、言い表せないけどとても凄かった。ビールは飲めないから試飲とかもなかったけど先生がビニール袋でビール貰ってたのは見逃してないからね。見学が終わって、バスに乗りこんでからスマホで時間を確認する。設定がおかしくなければそろそろ投稿予約してある新曲が出るはずだ。米津と話しながらバスに乗っていると、誰かが「あ！」なんて声を上げた。
「ヒバリ、動画出した！」
「うそ！？」
その言葉を聞いて俺はスマホを確認する。確かに投稿されていて、ツイートもしっかり行われているみたいだった。ほんと、助かるなあこの機能。俺みたいな学生にうってつけだよ。騒がしくなったバスの中、隣の米津が信じられないみたいな顔をしてこちらを見てくる。
「便利だよなぁ、この機能」
「まさか修学旅行中にやってくれるとは思わなかったよ…というか教えてよ。」
「まあまあ。一緒に聴こうぜ、ヒバリの新曲」
「白々しー…」
そういいつつも差し出したイヤホンを受け取ってくれる。俺は音楽ファイルを開いて、動画を再生する。今回は太宰先生の桜桃をイメージした曲になっている。太宰先生の作品はとても好きだ。未完の作品グッド・バイも何度も読み返している。けどやはり桜桃が1番好きだ。俺は子を持ったことはないから親の気持ちは分からないけど、子より親の方が大事だと思いたいなどの「私」の思考を理解しようと読み返しているうちに、なんとなく自分の親と重ねていた。まあもっともうちは親も子もさして大事だと思ってなさそうだけど。読んだ人ならわかるだろうけど、暗い。曲が終わり、米津がイヤホンを返してくる。受け取ると、なにやら難しそうな顔をしていた。
「どうした？」
「なんか、…なんだろう、うまく言えないけど…これ、何かが元になってる？」
「…よくわかったね。太宰治の桜桃、読んだことある？」
「ないなぁ」
「じゃあ今度読んでみて、多分面白いよ」
「本を曲に変えちゃうなんて、よく考えたね」
「好きな本だったからなあ」
褒められて上機嫌である。
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洋梨 - 続編おめでとうございます！1も2もちょくちょく小ネタが入っていて良すぎます… (2020年8月18日 3時) (
レス) id: 536671a358 (このIDを非表示/違反報告)
灯巴里(プロフ) - 、さん» 忘れてました！すみません、ありがとうございます！ (2020年8月16日 11時) (レス) id: 606c2e578b (このIDを非表示/違反報告)
むぎまる(プロフ) - 凄い…もう2まで行ったんですね！面白くて更新来るのいつもワクワクしてます笑頑張ってください´ω` (2020年8月16日 10時) (レス) id: db5695a9c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯巴里 | 作成日時：2020年8月16日 4時
