part72 ページ23
今日は修学旅行前日。米津が学校に近い俺の家に泊まることになっていて、放課後一度米津と別れて、荷物の準備をしているととん、とん、なんて音がして、インターホンがなる。
「開いてるよー」
扉に向かってそう言うと、米津が大きな荷物を持ってため息をつきながら入ってきた。
「ちょっと、俺じゃないかもしれないんだから鍵くらいしときなよ」
「米津の足音だったから」
「そんな遠くから聞こえる？」
「聞こえるよ。俺耳いいから。それに、米津の音聞き間違えるわけないじゃん」
「すぐそういうこと言うんだから…ほら、準備終わった？」
「んー。なに持ってけばいいかわからん」
そういうと米津は俺の隣にすとんと座って、キャリーケースの前に広げられた荷物を眺めた。
「んー。…これ以上、必要なもの、ある？」
「それがわかんないんだよなぁ。何が起こるか分からないじゃん？備えあれば憂いなしって言うか…」
「心配性だなあ。あ、気にしなくてもいいよ、ローションとかは持ったから」
ごつん。米津の頭に落ちる拳骨。あまりの痛さに蹲る米津と、顔が真っ赤になる俺。修学旅行中はさすがにやばいだろ。
「馬鹿かお前は…。そういう心配してるわけじゃねえよ…」
「…いたいなぁもう。そんなに照れなくても…。」
「次そのネタ出したら追い出すからな。」
「二度と口にしません」
握りこぶしを作ると、ぶるりと身震いしてから頭を下げてきた。素直でよろしい。俺は荷物をキャリーケースにしまって、玄関に置いておく。お財布は無くしたらのことを考えて2つ、用意しておく。それから冷蔵庫を開いて少し考えて、ソファにいる米津の方を向く。
「米津ー。お前トマト食える？」
「むり。」
「そーかー。他は？」
「んー。ブロッコリー」
「おっけー。お前今日変なことしたら明日の朝飯トマトとブロッコリーだけな。」
「え！？そういうことだったの！？」
てっきり手料理をご馳走してくれるのかと思ったのに…。と項垂れる米津の前に味噌汁を置く。
「いや、夕飯はもう作ってあるけど…。」
それを聞いた瞬間ぱああ、と顔を明るくする米津。かわいいなー。お前。自然と頬がゆるんでしまうから、米津の方を見ないようにさっと方向を変えて、おかずの準備を進めた。
普段は1人の食卓に、向かい合って2人。こういうの、とても暖かくて、いいね。談笑しながら食べて、2人で食器を洗う。それからまた少しゲームをした。今日は初めて米津に勝てた。1回だけど。
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洋梨 - 続編おめでとうございます！1も2もちょくちょく小ネタが入っていて良すぎます… (2020年8月18日 3時) (
レス) id: 536671a358 (このIDを非表示/違反報告)
灯巴里(プロフ) - 、さん» 忘れてました！すみません、ありがとうございます！ (2020年8月16日 11時) (レス) id: 606c2e578b (このIDを非表示/違反報告)
むぎまる(プロフ) - 凄い…もう2まで行ったんですね！面白くて更新来るのいつもワクワクしてます笑頑張ってください´ω` (2020年8月16日 10時) (レス) id: db5695a9c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯巴里 | 作成日時：2020年8月16日 4時
