part61 ページ12
「ご主人様のお客様ですね!はい、ありがとうございます!それではこちらの席へどうぞ!」
「遠いところありがとう。ゆっくりしてって」
メイクして、女装して、米津と2人で受け付けと席案内をこなす。2人でひとつ、みたいな感じで。男性客は俺のことみてデレるし、女性客は米津の事見て頬を染める。俺は男だし米津はこんなキャラじゃない。休憩時間になったから2人で控えの教室のその辺にある椅子に座る。
「忙しいなあ」
「予想以上に好評だね。Aかわいいから」
「ここまでくると開き直るしかなくなるわ。俺かわいいからさ…米津も女子に見惚れられたりなんかして、モテモテじゃん」
「別に、知らない人に好かれても何ともないんだけどなあ。イケメンとか言うならおひねりの1つくらいくれてもいいよね」
「やだご主人様がめつい」
少し休んだらせっかくだし、と校内をうろつきはじめる。そのとき女子達にプリントを持たされた。すれ違う人達に渡せ、ってことらしい。宣伝塔にしやがって。米津がトイレに行くなんて言って少し別行動になる。そこからあまり離れていないところでプリントを渡して回っていると、大学生くらいのチャラい…そういうこと言っちゃいけないか、とても賑やかそうな男の人達に絡まれた。
「なに〜、お嬢ちゃん。メイドさんしてんの?」
「コンセプトカフェやってるんです!来てくださいね!」
愛想笑いをかましながらプリントを渡してさっさと離れようとする。が、手を掴まれてしまって離れられない。
「かわいーじゃん。俺らと遊ばね?」
「すみません私そういうのはやってなくて…」
「初心だねー、そういうの嫌いじゃないよー」
「…あの、自分男ですけど…」
「またまたぁ、かわいい言い訳だね!ほらおいで!」
肩を掴まれる。気持ち悪。つい手を振り払う。男の人達はイラついたのか少し言葉が汚くなり始める。と、低くて落ち着いた声がした。
「人のものになにしてるわけ?」
「なに?この女のカレシか?」
静かに言う米津に、男たちは絡んでいく。米津は俺のことをぐい、と引き寄せて腕の中に収めると、男たちを睨みつけた。
「人の女に手出さないでくれない?」
その気迫にたじろいだ男たちは、しらけた、みたいな言い訳をしながら逃げていった。米津はため息をつきながら俺の頭を撫でてくる。
「ほんと、なんでああいうのに絡まれやすいわけ?」
「いやー、すみませぇん…」
ありがとうと感謝を告げて、俺たちはまたプリント配りを再開した。
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洋梨 - 続編おめでとうございます!1も2もちょくちょく小ネタが入っていて良すぎます… (2020年8月18日 3時) (レス) id: 536671a358 (このIDを非表示/違反報告)
灯巴里(プロフ) - 、さん» 忘れてました!すみません、ありがとうございます! (2020年8月16日 11時) (レス) id: 606c2e578b (このIDを非表示/違反報告)
むぎまる(プロフ) - 凄い…もう2まで行ったんですね!面白くて更新来るのいつもワクワクしてます笑頑張ってください´ω` (2020年8月16日 10時) (レス) id: db5695a9c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灯巴里 | 作成日時:2020年8月16日 4時