part60 ページ11
着替えてみて、と渡されて女の子たちは教室から出ていってしまった。米津を見ると既に着替え始めてて、いやまあお前は抵抗ないもんな、なんて思いながら俺も渋々着替え始めた。後ろにチャックあるタイプらしくて、自分じゃチャックをあげられない。米津の袖をくいとひいた。
「どうしたの?え、セクシー枠だったの、まさか」
「ちげーよ!チャック、後ろにあって。あげてくんね?」
「なるほどね。…はい。」
「さんきゅー。」
タイツも履いて、うわ、これ、30デニールってやつでしょ。知ってるよ俺。スカートも、大丈夫か、みたいに確認して、靴を履く。…ヒールを低めにしてくれたらしい。まあメイドがヒール高かったらおかしいもんな。米津を見ると、かしこまった服を着て、どこか居心地悪そうにしていた。え、かっこいい。無理。
「あれ、Aも着替えた?…やっぱりかわいいじゃん」
「嬉しくねーよ…お前やっぱ顔良いよな…」
「服変わっただけなんですけど?」
「あと足が長い。縮め。」
そう、足が長い。股下2kmなのでは?米津が教室の扉を開ける。え、もう開けるんですか。女の子たちが入ってきて、ハイテンションになる。
「え!え!やばい、想像以上なんだけど!」
「ほんと苦労して作ったかいあった…尊い…」
女の子たちは俺に毛束みたいなのを渡してきた。
「ウィッグ、渡すの忘れてて…ほら、こうすれば。」
座らせられて、あっという間に頭をいじられる。肩につくくらいに髪が垂れてきて、なんだかくすぐったい。いいよ、なんて言われてそのまま米津の方を見ると、一瞬ぴしり、と固まってから頭を撫でられた。
「え、なに?」
「女の子じゃん」
「男でーす、ちゃんとついてまーす」
2人で並ばされる。女の子たちはご満悦で、そこでひとつ気がついた。
「てか、俺ら以外にも仮装する人いるのに、このペースで間に合うわけ?」
「まあ他の人は買うし」
「は???」
「Aくんも米津くんも市販のだとサイズが合わないから作ったの。」
「お手数お掛けしました…」
まあ米津足長いしな。え、俺もサイズあわないの…?あ、そうか女物だからそもそもの作りが違うのか。納得して、着替え直す。当日はメイクまでされるらしい。ひえ。
それから看板を作り上げて、メニューを覚えたり、受け付けを教わったりなんかして、当日まで過ごす。去年はこんなに楽しめなかったから、新鮮っちゃ新鮮だった。楽しい。
そして、当日。
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洋梨 - 続編おめでとうございます!1も2もちょくちょく小ネタが入っていて良すぎます… (2020年8月18日 3時) (レス) id: 536671a358 (このIDを非表示/違反報告)
灯巴里(プロフ) - 、さん» 忘れてました!すみません、ありがとうございます! (2020年8月16日 11時) (レス) id: 606c2e578b (このIDを非表示/違反報告)
むぎまる(プロフ) - 凄い…もう2まで行ったんですね!面白くて更新来るのいつもワクワクしてます笑頑張ってください´ω` (2020年8月16日 10時) (レス) id: db5695a9c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灯巴里 | 作成日時:2020年8月16日 4時