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次の日、相変わらず私より早く来てた平野紫耀にお礼をもう1回言って、
優太との最後の日だから、
絶対残業にならないように集中して仕事に取り組んだ。
「ねね、Aちゃん。ここわからんから一緒にやってほしい」
「え?何がわからないの?」
「お客様が喜んでくれる方法がわからん」
「ご要望にお答えすればいいだけだよ」
「ご要望が無茶なんだって。時間は3時間以内だけど衣装は5枚でそのうちひとつ和装だよ?!意味わからん」
「なにそれ」
「新郎さんがお忙しい人みたいなんだけど新婦さんはたくさん衣装着たいんだって」
無理やから......って頭抱えてる。
そもそもここに来て初めての案件でこんなの受け持ってるのがすごいし、
運がないな、って見かねて。
ジンに怒られちゃうとは思いつつも相談に乗ることにした。
「うんまあだからさ、式は最小限にカットしなよ」
「披露宴も3時間しかないならご飯とかもたくさん出せんよな?」
「うん、立ち飲みパーティー形式にしたらどうかな」
「もう、ファッションショーみたいになるやん」
和装ってことはメイクにも時間がかかるし、着付けにも時間がかかるし、
カクテルドレスだって、
式用のものはそれなりに着替えるのに時間がかかる。
「平野〜、私今日は残れないから明日考えよう続き」
「は?これ明日新郎新婦と打ち合わせあるんやけど」
「は?!」
「なあ、帰らんでよ!」
「ええ、今日は....」
俺ん家泊まったくせにまさか男とか言わないよな?
って言われて。
泊まったの、不可抗力だし。
男、って間違ってないし。
あーもうめんどくさいって思って、結局私が折れた。
「これで泊めてもらった恩はチャラだからね」
「ああ、じゃあ俺お礼しなくていいのかラッキー」
「それはぜひしてほしいけど」
「ふはっ、なんか考えとくからとりあえずこの仕事片付けるぞ」
あー、優太との最後の夜がって思いつつも、
仕事だから、
この男のところにいなきゃいけない自分がだいぶ恨めしがった。
「Aちゃんさあ」
「なに?」
「なんでもないや、」
「なんなの」
結局、仕事に熱中して、
慌てて帰宅したのは、すっかり日が落ちて
家々の電気も消え始める頃だった。
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涼杜兄妹(プロフ) - 岸くんの小説初読みがとても素晴らしい作品で、2人だけの結婚式のところめっちゃ泣きました。今後平野くんでどうなるのか楽しみです!応援しています! (2019年4月26日 23時) (レス) id: 400e48a6ce (このIDを非表示/違反報告)
しゅしゅ(プロフ) - はじめまして。読んでいると自分がこの作品の中に入り込んでいくようなもので、岸さんの設定もあり、何度か涙してしまう部分がありました。平野さんとの本編がとても楽しみです。ひとつのドラマのように見れたこの作品がとても好きです。 (2019年4月6日 5時) (レス) id: e8afa57bf5 (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - 初めまして。楽しく読ませていただきました。本編があるなんて楽しみです。 (2019年4月1日 2時) (レス) id: 123949a422 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - めっちゃめっちゃ本編楽しみです!私は岸くんが一番すきなので、岸くんの話を読めてホントに良かったです!更新頑張って下さい♪心から応援してます!!! (2019年3月31日 23時) (レス) id: 36d39b543c (このIDを非表示/違反報告)
光彩 - 初めまして。岸くん押しなので気になり読ませていただきました。すごく面白かったです。岸くんが消えてしまってさみしいですが、彼の願い通りヒロインと紫耀くんが幸せになれたら嬉しいです。本編も楽しみにしています。 (2019年3月30日 20時) (レス) id: 44ed791076 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ベリナ | 作成日時:2019年3月4日 18時