さよなら、初恋【岸優太】

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「Aちゃん、無事に田中様の結婚式終わってよかったね」


「はい、ほんとに安心しました」


「まだ2年目なんて思えないほど仕事できちゃうの、すごいよ」


「いえ、私なんて全然ですよ、マキさんこそ憧れです、私の」


「Aちゃん、可愛いから新郎に惚れられちゃったら大変ね！気をつけなきゃ！」


「そんなことないですからね、笑」


「この業界、男少ないし、出会いはないし、人の幸せはたくさん見れるけど自分の恋愛は見つけられないわよね！」


「まあ、はい。笑」


「Aちゃん、彼氏いたっけ？」


「彼氏なんてずっといませんよ、笑」








私は、大手の結婚式場で、ウェディングプランナーとして働いている。


ずっとこの職業に憧れてて、専門学校を卒業してすぐに就職した。



今はウェディングプランナー2年目の、21歳。




まだまだ若手だけどなんとか数件、結婚式を成功させた。









「Aちゃん、可愛いのに、もったいないわねぇ」


「そんなことないですよ、マキさんは旦那さんと幸せそうで羨ましいです」


「私と旦那は高校の時から付き合ってたからね、」









上司のマキさん、入社当時から目をかけていただいて、

とてもとてもお世話になっている。



年齢不詳だが、結婚していてとてもイケメンな旦那さんがいる。



マキさん自身も年齢を感じさせないくらい綺麗で、


裏では美魔女なんて呼ばれている。







「若いんだから、たくさん恋愛しなさい？」


「そうですね....笑」









出会いがないなんて、それは実際いいわけで。


成人式もあったし、連絡を取り合う男性も何人かいるし、



それでも恋愛に発展しないのは、



恋愛する気がないのがいちばんの原因だ。









「ひょっとして、Aちゃんこじらせてる？」


「....そうかもしれないですね、笑」


「今度飲みに行った時に聞かせてね」







こじらせてる、って言い方が正しいのかはわかんないけど、


実際すきなひとは、いる。




いや、いるって言っていいのかわからないけど、





ずっとずっとすきな人が、私の心の中には、いる。









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