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【your side】
敗者復活戦は、読み上げ形式のペーパー解答クイズだった。誤答した人は自席に座り、残り人数が12人以下になったら壇上で早押しが行われる。──800人を超える敗者たちの、戦い。
私はスタッフとして人数確認を命じられていたけれど、目は勝手に問を探してしまっていた。……言と一緒かな。それとも都立大の子といる？ 深いモスグリーンのパーカーを探していると、パッと目に入ったのは言が着ていた薄い青色のシャツだった。その流れで隣の問も見つかる。……遠目ではわからない、彼の表情。
「──それでは、1問目から10問目までの解答を発表します」
彼に迷っている素振りはなかった。一問、一問、解答がスクリーンに映し出される。……あ、だいぶ減った。3Rのあの子ミスっちゃったのか。間違えた子達がどんどん席に座っていく。前から見える客席の様子に、焦りが募る。──問と言は、
(……あ)
言が、いなかった。
10問目までの解答が読み上げられ、頭が真っ白になったままスタッフで残りの人数を確認する。……12人、以上いる。
「──はい、まだ人数いらっしゃいますので続行と致します」
問読みの声がマイクに通る。顔面蒼白で問を見つめた。……顔色すら、この距離ではわからない。問題が読み上げられて、彼がペンを動かした。
組んだ両手の指に、痛いほど力が籠る。
──ああ、こんなに誰かの正解を願ったの、いつぶりだろう。
彼の正答を半ば恨めしいとすら思った1年前が懐かしい。ねえ、1年前の私。私は今、あなたが負けた相手の彼女になって、彼の正解を祈ってるよ。──今でも信じられないけれど。
解答がスクリーンに映し出された。何人かが席に座る。問は──まだ、立ってる。数えてみれば、まだ12人には届かなかった。
(……問)
お願い。正解して、と思いながら彼を見る。問題が読み上げられる。最後まで言葉が紡がれて、
(……あ)
──迷って、る。
どうしてそれがすぐにわかったのか、自分でもわからない。けれど5カウントが終わって、解答が映し出された瞬間、確かに彼は自席に座った。
どくどくと心音が鳴る。隣のスタッフが、立っている人数を数え始める。残り少なくなってきたねー、と誰かが言って、残っている人は中央通路に出てください、とアナウンスが入った。
青いシャツも、モスグリーンのパーカーも、もう見えない。
彼のラストイヤーが、幕を閉じた。
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鳩麦こおり(プロフ) - 犬子さん» そう言っていただけて嬉しいです...！ ありがとうございます🥰 Wデートの更新はだいぶ時間がかかると思うんですが、気長にお待ちいただければ幸いです🙇♀️ (2月18日 10時) (
レス) id: 5ea5a9dd22 (このIDを非表示/違反報告)
犬子(プロフ) - 初めまして。年上彼女×mnの組み合わせと主様の表現力に終始ﾆﾔﾆﾔしつつ読ませていただいています！gnちゃんもかわいい…Wデート、拝見できると嬉しいです…。大変尊かったので思わず感想をお送りしましたm(__)m (2月16日 1時) (レス) @page13 id: 7ba156e249 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鳩麦こおり | 作成日時：2024年2月4日 13時
