早春 (ページ10)

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98枚目ページ10

夢主side

隠しきれると思ってた。
＂幻＂なんて呼ばれたくなかったから。

あの人たちは優しいから本当の名前で呼ぶんじゃないかと思った。

それでも今抱える罪悪感には勝てなかった。

必死に龍儀くんは俺がAであると言っている。
ほんとに必死に。

『龍儀くん…もう大丈夫です……
"幻＂は俺のホントの名前です…
ずっと騙しててすみません。でも……

麻璃央くんに付けてもらったこの名前が…Aが嬉しかったから。ずっとこの名前で呼ばれたかったから…』

出てくる涙をこらえながら伝えた。

男『泣ける話だねぇw』

男2『あれ？ほんとに泣いてんの？w』

男3『いや～幻ちゃん人気出るわ～w』

男達『ほんとそれwww』

自分たちは黙っているしか出来なかった。
龍儀くんは必死に自分を抑えてた。

龍儀くん…俺のホントの名前知って嫌になったのかな…

男2『てか、君たち起きるの待ってたらもう夜っすよw』

男･男3『ほんと寝すぎなw』

男『俺達も眠たいから寝るわ～明日、幻ちゃんだけお父様似合わせてあげるからね～』

男2『逃げ出さないように…っと』

そう言って俺と龍儀くんを柱に縛り付けた。結構きつく。

男3『じゃーねーw
明日、幻ちゃん死ぬかもねwその時は俺らが守ってあげるからwww』

そう言ってからかって男達は寝てしまった。

龍儀くんはずっと下を向いていた。

やっぱり…

横田『俺、結構役者出来てた？』

え？

『な、なんのことですか。俺が今までずっと騙してたのになんでそんなに…』

横田『騙してた？そんなwAくんはA君なんだから。
それは俺らにとっては変わらないことですよ』

『…ありがとう……ございます。』

横田『ほんとに寝たねw…いや、笑い事じゃないか。
Aどうするの？』

『どうするも…俺…まだまだスタッフとしてずっと生きていきたいです。

まだ依音との約束もある。こんな所で変な道に行くなんて嫌だ！』

横田『俺もまだまだAくんと一緒に仕事したいよ。

今頃稽古場で俺らのこと心配されてるかな？』

『あぁ～確かに。明日になったら警察がぁーみたいなことないかな？』

横田『もし来るのが遅れてAくんが連れていかれた時のためのGPS機能ONにしとく？』

『でも今ポケットに入ってて取れませんよ？あと、充電ほぼないです。』

横田『俺のも結構無いけど…っと』

簡単に縄を解いた。この人。

横田『まだ出来て良かった～』