【派生作品】梅と蜂【“普通”の高校生になるはずだった】

暇ー！（sideニーナ） ページ16

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…とは言ったものの…


「ねー暇ー！」


「うるせえ！てか何飲んでんだよ！」


「え？ピーチオレだけど。飲むー？」


と言ってボトルを首筋に当てると「ぅわっ」と良いリアクションをもらえる。こういうところは未だに変わらないなぁ━







私の小学校と中学校の給食ってちょっと変わってた思い出があって、牛乳が未だにビンで出てくる学校だった。


「みろよ！小学校の時牛乳瓶の蓋こんなに集めたんだぜ！」と言ってジューシー体型の男子がジャラジャラ蓋の袋詰めを見せつけてきた。


「え！よくこんなに集めたね！」


「だろ！今日から給食だからさらに集めまくるぜ！」というのを間にチラッと賢人の方を見ると、足を揃えて小さくなっている。さらにその背中越しに白いエプロンを着た人たち━給食当番の人たちがワゴンを押して帰ってきた。


配膳から帰ってきても賢人は牛乳瓶を見つめて小さいままだった。私が突っ伏してるせいで二つの瓶の中に歪んで見える。と、私の中で思いついた。私は牛乳を持つと向かいの賢人の首筋に当てる。すると「ぅわっ」と言ってイスから転げ落ちた。その後見てた数人がどっと笑い出した。


「お前、瓶牛乳初か？」


そう賢人に聞いてきたのは牛乳瓶蓋コレクターだった。


「…僕の家、コップでしか出たことない。」


「んじゃあ瓶蓋を見るのも初めてか？」


「うん。」


「オレさ、それ集めてんだよ！だからちょうだい！オレ、友達になるから！」


「うん。」


「やったー！心の友ー！」とコレクターは賢人を抱きしめた。「苦しいよ…」と賢人はまんざらでもなかった。

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