第九十話 ページ40
しかし、話が一段落したかと思い真昼が口を開きかけたが
「そういえば、この話を椿に話したら洋服を買ってきてくれたんだけれど……」
とAの話は次の話題へと移り始める。
女子は話が尽きないという事を聞いてはいたが、まさにそれが今目の前で体現されているを真昼は感じた。
こうして玄関先で立ち話をしている女性達の姿はこのマンション内でもよく見かける。井戸端会議と言われるものだろうか?
ファミレスなどでも、よく女子達が集まって熱心に話し込んでいる姿も思い出しAとその姿が重なった。
真昼がそんな事を考えているとは露知らず、Aはころころと表情を変えながら口を動かす。
吸血鬼かもしれないと、つい先程まで警戒していたが
目の前にいるAの姿はただのおしゃべり好きのどこにでもいるような女の子に見えた。
拍子抜けしてしまった真昼は、苦笑いを浮かべながら小さく溜息をついた。
そんな真昼の様子に気が付いたAはハッとした表情をうかべ
「ごめんなさい、私ばかり話していたわね……。」
「い、いや!話を振ったのは俺の方だし……まあ、とりあえず立ち話もなんだから中にどうぞ」
申し訳なさそうに小さくなるAを家の中へと促すと「じゃあ、お言葉に甘えて」と足を進め、ようやく玄関の扉は閉ざされた。
家の中へと通されたAは廊下を抜け、リビングルームへと案内され椅子に腰を下ろしていた。
あまりジロジロ見るのは失礼かと思ったが、それとなく視線を泳がせ室内を見回す。
リビングはきちんと整理整頓され、手入れの行き届いた様子だった。
「あ、飲み物は紅茶でいいですか?コーヒーもインスタントならあるんですけど」
対面式のダイニングキッチンとなっているのでコンロでお湯を沸かしながら
目の前の椅子に座るAへと真昼が問いかける。
「お気遣いありがとう。じゃあ……紅茶をいただけるかしら?」
「紅茶ですね。……あの、俺普段あまり紅茶とか淹れないから、美味しくなかったらごめんなさい。」
そう言って小さく肩をすくめた真昼だったが、てきぱきと手際よく準備を進める。
普通の男の子に見えるが、迷いなくキッチンを使っている所を見ると普段から料理などもしているのかもしれない。
ご両親のお手伝いなどしているのだろうか?とAは一人心の中で関心していた。
あっと言う間にお茶の仕度は出来上がり、Aの持ってきたロールケーキも綺麗に切り分けられていた。
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サキ(プロフ) - こちらの小説ってもう更新されないんですか? (2018年5月3日 13時) (レス) id: 21861887f2 (このIDを非表示/違反報告)
日和 - はい!私生活に余裕が出て、暇があったらぜひ更新してください! (2016年8月20日 22時) (レス) id: 40ecd8018d (このIDを非表示/違反報告)
はちくま(プロフ) - いなさん» コメントありがとうこざいます、ちょっと今私生活がバタバタしておりますのでもう少々お待ちいただけると幸いです、すみません……コメントいただけて嬉しいです、頑張りますね! (2016年8月3日 7時) (レス) id: 5e438ae83b (このIDを非表示/違反報告)
はちくま(プロフ) - 日和さん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけて何よりです。ちょっと今私生活がバタバタしておりますのでもう少々お待ちいただけると幸いです、すみません…… (2016年8月3日 7時) (レス) id: 5e438ae83b (このIDを非表示/違反報告)
いな - ずっと待ってます!更新頑張ってください!!応援しています!続きが楽しみです! (2016年8月2日 23時) (レス) id: 1536a576c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はちくま | 作成日時:2015年5月21日 5時