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第八十九話 ページ39

時計の針はそろそろAと約束した午後一時を指し示す頃
ピンポーン、という呼び出し音が部屋中に響き渡り、真昼は壁に取り付けられたインターホンの室内モニターへと駆け寄る。
パッとモニターに映し出された映像には、落ち着かない様子でドアの前に立つAの姿があった。
今開けますね、と一言声を掛けると玄関へと向かい、ドアを開ける。

「こ、こんにちは」

「こんにちは、真昼。お招きありがとう。」

第一声に困り辿たどしい挨拶を口にした真昼に、その人物はふわりと微笑みながら小さくお辞儀をした。
目の前に立つその人物こそが、突然現れた謎の修道女、Aだ。


Aは昨日と同様、真っ黒な修道服に身を包んでいた。
修道服と言うものをあまり見慣れていないせいか、自分の家の玄関先にいるAの存在に違和感を覚える。
海外の映画や漫画の中のキャラクターなどで目にした事はあるものの、修道女と実際にこうして会う事になるとは想像もしなかった。

なぜ、そんな修道女とクロが知り合いなのだろうか?
あれこれと考えてはいるが、そもそもAは本当に修道女なのだろうか?
ただコスプレをしているだけかもしれない。

自分はAの事を何一つ知らない。

簡単に家にあげると言ってしまったが、その選択が正しいかったのかと真昼は不安を感じた。
昨夜話した時にはうやむやになってしまったが、Aも吸血鬼なのかもしれないのだ。
もしも、戦闘にでもなったとしたら自分一人で対処出来るだろうか……?





「えっと……あの……」

真昼よりも拳一つ程背の低いAが、更に下から顔を覗き込むように声をかけてきた。
ようやくそこで真昼はまじまじとAを見ていた事に気付き、Aを疑っていたという後ろめたい気持ちを取り繕うように言葉をまくし立てた。

「ご、ごめんなさい!!えっと、何て言うか……その……修道服姿が珍しくってつい……!」

「え?……ああ、確かに日本では日常的に修道服を着ている人はあまりいないみたいね。外を歩くと物珍しい目で見られるもの。」

苦し紛れに出た言葉だったが、Aは納得いった様子で答えた。「この前もね、一緒に写真を撮ってくれってに知らない人に話しかけられて……」と修道服ならではの苦労を語り始めたAの話に適当に相槌をうちながら、真昼はばくばくと鳴る鼓動と、動揺が落ち着くのを待った。

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サキ(プロフ) - こちらの小説ってもう更新されないんですか? (2018年5月3日 13時) (レス) id: 21861887f2 (このIDを非表示/違反報告)
日和 - はい!私生活に余裕が出て、暇があったらぜひ更新してください! (2016年8月20日 22時) (レス) id: 40ecd8018d (このIDを非表示/違反報告)
はちくま(プロフ) - いなさん» コメントありがとうこざいます、ちょっと今私生活がバタバタしておりますのでもう少々お待ちいただけると幸いです、すみません……コメントいただけて嬉しいです、頑張りますね! (2016年8月3日 7時) (レス) id: 5e438ae83b (このIDを非表示/違反報告)
はちくま(プロフ) - 日和さん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけて何よりです。ちょっと今私生活がバタバタしておりますのでもう少々お待ちいただけると幸いです、すみません…… (2016年8月3日 7時) (レス) id: 5e438ae83b (このIDを非表示/違反報告)
いな - ずっと待ってます!更新頑張ってください!!応援しています!続きが楽しみです! (2016年8月2日 23時) (レス) id: 1536a576c8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はちくま | 作成日時:2015年5月21日 5時

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