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第七十五話 ページ25

公園の木製のベンチに一人腰掛ける。冷たく硬いその材木の感触が今のAにとっては心地よかった。

―――Aの力にはなれない

彼から、突き放すように放たれたその言葉がずっとAの耳から離れなかった。

無条件に彼なら力になってくれると思っていた。どこかで彼に甘えていたのだろう、
きっと自分を助けてくれる、と。
そんな甘い考えで期待していた自分に嫌気がさした。 私は彼にひどい事をしてきたのだ。
簡単に許されていいはずがない。

そうだ、彼があんな身体にサーヴァンプとなってしまったのだって元はと言えば――…



その時、Aのポケットにしまっていたスマートフォンが震えた。突然の振動に心臓が跳ね上がり、どうにか声が出そうになったのものの我慢することが出来た。
ドキドキと胸打つ鼓動を落ち着かせながら、ポケットからそれを取り出す。暗闇の中、パッと光りを放つ画面には“綿貫桜哉”の文字が表示されていた。 そこでようやくAは、事前に帰宅すると知らせていた午後七時半を過ぎている事に気がついた。

「……もしもし」

『オレですけど、今どこですか?』

「ごめんなさい、えっと……」

スマートフォンを耳に当てたままきょろきょろと、周囲を見回す。この現在地である公園の名称を知りたかったが、明記されているものはおろか情報となりうるものもこの辺りには無さそうだ。

「大通り沿いの…公園のような広い施設にいるわ。」

『公園?なんでそんなところに?迷子にでもなりました?』

「いいえ、少し考え事をしていたら時間が経ってしまって……。ごめんなさい、今から帰るわ」

『いや、そこで待っててください。俺も今ちょうど外にいるんで迎えにいきます。』

「え?でも悪いわ……。それにホテルなんてすぐそこだと言うのに……」

わざわざ迎えに来てもらうような距離でもない。そう思ったのだが、桜哉はさっきより少し声のボリュームを下げると電話越しに言う。

『椿さん、もうホテルに帰って来てるんで……』


その一言で桜哉の言いたい事を察するのは充分だった。
最近は桜哉の護衛なしに出掛ける事もあったのだが、こうして帰宅予定時刻を無断で過ぎてしまったのだ。
万が一そのことが椿の耳にでも入ってしまったらまた桜哉が責められることになってしまう。

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サキ(プロフ) - こちらの小説ってもう更新されないんですか? (2018年5月3日 13時) (レス) id: 21861887f2 (このIDを非表示/違反報告)
日和 - はい!私生活に余裕が出て、暇があったらぜひ更新してください! (2016年8月20日 22時) (レス) id: 40ecd8018d (このIDを非表示/違反報告)
はちくま(プロフ) - いなさん» コメントありがとうこざいます、ちょっと今私生活がバタバタしておりますのでもう少々お待ちいただけると幸いです、すみません……コメントいただけて嬉しいです、頑張りますね! (2016年8月3日 7時) (レス) id: 5e438ae83b (このIDを非表示/違反報告)
はちくま(プロフ) - 日和さん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけて何よりです。ちょっと今私生活がバタバタしておりますのでもう少々お待ちいただけると幸いです、すみません…… (2016年8月3日 7時) (レス) id: 5e438ae83b (このIDを非表示/違反報告)
いな - ずっと待ってます!更新頑張ってください!!応援しています!続きが楽しみです! (2016年8月2日 23時) (レス) id: 1536a576c8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はちくま | 作成日時:2015年5月21日 5時

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