第六十二話 ページ12
懐かしいその姿に、Aは少し興奮気味に頬を赤らめ目を輝かせた。
それもそのはず。あんなにも会いたいと思っていた彼に再会できたのだから。
「アーチャー!アーチャーよね?まさかこんなところであなたと出会えるなんて……!」
「A……、お前なんでこんなところに……。」
そう驚いた様子で問いかけてきた彼の顔をもう一度よく見つめた。
真っすぐに伸びる癖の少ない澄んだ青空を連想させる綺麗なブルーの髪も、吸血鬼の特徴である鮮やかな真紅の瞳も、ぼんやりとした眼差しの下に残る隈も、間違いなくAのよく知る彼であると確信する。
相変わらず猫背気味な姿勢は治っていないのだと気付き、思わず微笑んでしまう。
最後に会ったのは何百年前の事だろうか?
昔一緒に過ごした暖かい思い出を思い出し、なんだか目頭が熱くなるのを感じた。
「おい……、感傷に浸ってないで答えろよ、A。」
そんなAの様子から察したのか、彼は先ほどの問へと答えを催促してきた。
はっと、現実に戻されAは口を開いたが、それは第三者の介入によって遮られる。
「おいクロ……知り合いか?」
先ほどの活発そうな短髪の少年が声をかけてきた。
その声にハッとしたのは彼の方で、声をかけて来た少年の方へと視線を向けるとバツの悪そうな表情を浮かべ視線を泳がせた。
「いや……別に…」
「なんで隠すんだよ?珍しいな、クロと知り合いだなんて……って、もしかして……吸血鬼…?!」
コロコロと忙しそうに表情を変える少年の様子に目を奪われていると、彼の口から出た“吸血鬼”という言葉にAはぴくりと反応した。
この少年は、吸血鬼について何か知っているのだろうか?
それに先ほどからスリーピーアッシュの事を親しげに『クロ』と呼んでいる。
ここまで考えてAはある可能性に辿り着いた。
「もしかして、彼があなたの今の主人?」
「…………。」
スリーピーアッシュは何も答えなかったが、その沈黙は肯定を表しているようだった。
そしてAは今一度、主人であろう少年に視線を戻すとその少年もまたAへの事を見つめていた。
活発そうな茶色い短髪に、大きな瞳をぱちくりと瞬かせたハッキリとした顔立ちの少年だ。
歳は桜哉と同じくらいだろうか、彼と比べてしまうと少し幼くも見える。
「初めまして、あなたがアーチャーの主人なのね?」
「ア、 アーチャー…?」
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サキ(プロフ) - こちらの小説ってもう更新されないんですか? (2018年5月3日 13時) (レス) id: 21861887f2 (このIDを非表示/違反報告)
日和 - はい!私生活に余裕が出て、暇があったらぜひ更新してください! (2016年8月20日 22時) (レス) id: 40ecd8018d (このIDを非表示/違反報告)
はちくま(プロフ) - いなさん» コメントありがとうこざいます、ちょっと今私生活がバタバタしておりますのでもう少々お待ちいただけると幸いです、すみません……コメントいただけて嬉しいです、頑張りますね! (2016年8月3日 7時) (レス) id: 5e438ae83b (このIDを非表示/違反報告)
はちくま(プロフ) - 日和さん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけて何よりです。ちょっと今私生活がバタバタしておりますのでもう少々お待ちいただけると幸いです、すみません…… (2016年8月3日 7時) (レス) id: 5e438ae83b (このIDを非表示/違反報告)
いな - ずっと待ってます!更新頑張ってください!!応援しています!続きが楽しみです! (2016年8月2日 23時) (レス) id: 1536a576c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はちくま | 作成日時:2015年5月21日 5時