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第五十一話 ページ1

「いずれリヒトも気付く事だろうから話すけれど、……私は普通の人間じゃない。」

「どういう事だ?」

「リヒトも不思議に思わなかった?あんなに小さかったリヒトが、私の身長をとうに超えるくらい成長したというのに、私はあなたと出会った頃のまま何も変わってない、って。」

「……。」

それは肯定を表すのか、否定なのか。リヒトは黙ったままだった。
その沈黙は怖かったが、その沈黙を打ち破るようにAは続けた。

「信じてもらえないかもしれないけれど……私は、年をとれないの。」

「年をとれない?」

「不老不死、とも言うわね。もう何百年、何千年とこの姿で生き続けているわ。」

「そうか。」

「そ、そうかって……。驚かないの?」

「別に。Aは天使だからな、仕方ない。」

「天使ってそんな。それで納得出来るの?……気味悪くない?」

「AはAだ。それに変わりはないだろ?」

リヒトは、そう力強く言い切ってくれた。
Aはその言葉が嬉しくて、目頭が熱くなる。そんな風に言ってくれた人は今までも少ない。
でも、自分の事を分かってくれる人は確かにいるのだととても嬉しかった。

Aはこみ上げてきた涙で滲む視界を拭いながら、「ありがとう」と呟く。


「あなたに話してよかったわ。リヒトが昔と変わっていなくて」

「まあ、何てったって俺は……天使だからな。」

相変わらずのリヒトだが、あの純朴な少年は今も変わらず真っ直ぐ成長しているようだ。
変わっていく時間と時代の合間にも、変わらないものは確かにあるのだと、確信し胸が温かい気持ちで溢れた。






_____________________________




ガチャっと、自室の扉を押し上けて桜哉はエレベーターホールへと向かった。
喉が乾いた桜哉は散歩がてら夜風に当たりにコンビニを目指す。ラウンジに行けば飲み物くらいあるだろうし、ルームサービスもあるのだが、他人にあれこれ注文するよりも自分ですべて済ませたいと考える桜哉からしたらコンビニへ行くことの方が多かった。慣れていない、柄じゃないと言うのもあり、あまりAの事も言えないなと思いつつ、いつものようにラウンジを通り過ぎ廊下を歩く。
すると、一足先にエレベーターホールから出てきた人物と鉢合わせた。
その姿に、一瞬身がこわばる。


「あれ、桜哉。こんな時間から出かけるの?」

「……ええ、まあ。今帰りですか、椿さん」

第五十二話→



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サキ(プロフ) - こちらの小説ってもう更新されないんですか? (2018年5月3日 13時) (レス) id: 21861887f2 (このIDを非表示/違反報告)
日和 - はい!私生活に余裕が出て、暇があったらぜひ更新してください! (2016年8月20日 22時) (レス) id: 40ecd8018d (このIDを非表示/違反報告)
はちくま(プロフ) - いなさん» コメントありがとうこざいます、ちょっと今私生活がバタバタしておりますのでもう少々お待ちいただけると幸いです、すみません……コメントいただけて嬉しいです、頑張りますね! (2016年8月3日 7時) (レス) id: 5e438ae83b (このIDを非表示/違反報告)
はちくま(プロフ) - 日和さん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけて何よりです。ちょっと今私生活がバタバタしておりますのでもう少々お待ちいただけると幸いです、すみません…… (2016年8月3日 7時) (レス) id: 5e438ae83b (このIDを非表示/違反報告)
いな - ずっと待ってます!更新頑張ってください!!応援しています!続きが楽しみです! (2016年8月2日 23時) (レス) id: 1536a576c8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はちくま | 作成日時:2015年5月21日 5時

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