【REBORN】揺蕩う雲のように【男主】

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「な、なんでイーピンが…」

一同がイーピンを凝視し、雲は徐に懐から小箱を取り出す。
箱を開け、小さな道具を取り出すと雲はイーピンの前に跪く。

「非常事態といえど、無関係のお嬢さんに怪我を負わせてしまったのはこちらの落ち度です。僕からの謝罪で治めていただきたい」

あまりに自然な動きに一同は警戒はするものの、治療の手を止めようとはしなかった。
無駄な動きのない手当により、イーピンの傷があった箇所にはガーゼが貼られている。
静かに立ち上がれば口を開くこともなく背を向けて歩き出す雲にリボーンが鋭い視線を突き刺す。

「…何が目的だ」

雲は足を止め、ゆっくりと振り向く。
その表情は嘲笑とも微笑みともとれるような笑みを浮かべていた。

「…先程申し上げたとおり、こちらの不手際によって起きたことへの謝罪ですよ。えぇ…中途半端に怪我をさせたこと、誠に申し訳ありませんでした」

「え…それってどういう…？」

沢田綱吉は意味がわからないといった表情で雲を見やり、リボーンの表情は厳しいものとなる。

「要するに、攻撃を認知することなく殺して差し上げることができなかったことを謝罪しているのですよ。痛みを与えただけで、両者にも損得は一切なかったでしょう」

倫理観がない言葉に一同の表情が凍りつく。

「我らは裏社会の中でもトップクラスの暗殺部隊でありながら、暗殺もまともにできなかったという失態は何としても払拭しなくてはいけません。ですが事は起きてしまいました。こちらの後始末ではなくまずはそちらに謝罪すべきと判断いたしましたので僕がこの場にいます。目的と言っては何ですが、ご理解いただけましたか？」

無言を肯定とみなした雲はにこりと微笑むと、風が吹いたように静かに消えた。

「な、なんなのあの人…やばい、やばいよ！」

「とんだサイコパスじゃねぇか！」

口々に雲への印象を爆発させる一同は再度VARIAの脅威を体感した。

「あ、イーピン！大丈夫か…ってぇ!?」

沢田綱吉がイーピンを見れば、イーピンの目はハート型になっており、雲に見惚れたまま惚ていると察する事は容易だった。

「ん？でも筒子時限爆弾は発動してない…？」

「さっきの奴はイーピンの師匠とも雲雀とも顔が違うからな。まぁ雰囲気は似てたがな」

「てことは…本当に惚れちゃったの〜!?」

星が煌めく夜空を背景に沢田綱吉の声が反響し、各々が自宅へと帰宅してこれからの敵を思い浮かべるのだった。

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