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ショーウインドウに並ぶキラキラ光る宝石に、バランスよく活けられた花や、テディベアに丹精に作られた人形。精密に作られたお菓子、はあとでご主人様に教えてもらう。兎にも角にも、街には目移りするものが一杯だ。
やはりこの街の中央通りは店が多いだけあり、時間帯に関わらずたくさんの人でごったがえしている。目まぐるしく歩く人に思わず倒れそうになりながら、必死にご主人様から離れないように手を繋ぎ、人ごみを縫うように歩いていた。
買い物のメモを見ながらご主人は「あ」と呟く。
「サイファ、あっちに行くぞ」
「え？ 公園ですか？」
ご主人様は目で裏の路地を指した。ご主人様が指差した路地は確かはかわいい噴水がある公園に続く路地だ。私はご主人様に連れられるまま、その路地へと向かっていった。
「ご主人様、どうしたんですか？」
「……買い忘れがあった」
「え？」
表通りを見る。道を戻るなら表通りのはずだ。
ご主人様の背中を見上げると共に、一気に視界が広がりその眩しさに目を細める。
噴水の涼しげな音。反射する水はまるでシャンデリアのようで、目がチカチカする。よく来る人しか知らない穴場のような公園のためか、見渡しても人はほとんどいない。
ご主人様は私をベンチに座らせると、その大きな手を私の頭の上に乗せた。
「疲れただろ。俺一人で行ってくるから、休んでおけ」
「え」
疲れていたのが、もしかして顔に出てしまっていたのだろうか。私の我侭で連れてきてもらったのに、ご主人様だけ行かせるのは申し訳ない。
「私も、一緒に行きます」
「無理するな。長距離歩いた上に、慣れていない人ごみを歩いたんだ。疲れてないわけないだろう。
気にしなくて良いから、休んでおけ」
「……はい」
思わず下を俯いた私にご主人様は、少し苦笑いを浮かべて私の頭を撫でた。
「すぐに戻る」とご主人様は黒いローブを揺らめかせて、暗い路地のほうへと歩いていく。私はその様子をただただ見守っていた。
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