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この人、ご主人様は朝に弱い。生活リズムを整えるのは苦手らしく、いつもバラバラに動いている。二、三日徹夜しているかと思えば、一日を死んだように眠ることも少なくない。食生活も決して良いとは言えず、何も食べないで過ごしてる日もあるくらいに小食だ。そのためか、他の成人男性よりも線が細い印象を受ける。最近はましになってきていると信じたい。
「何を作っているんですか?」
「……スクランブルエッグとミネストローネ。サラダはもう作ったし、あとはパン焼けばすぐできる」
「スクランブルエッグ! ミネストローネ!」
私がそう繰り返せば、ご主人様は苦笑いを浮かべた。それにカッと顔が熱くなる。はしゃぎすぎた。
ご主人様の作るスクランブルエッグとミネストローネは私の大好物だ。普段は私が料理しているが、どうしてもご主人様の味には近づけない。「別に特別なことはしてない」とご主人様のレシピを教えてもらったが、何か違うのだ。
「サイファ、プレート準備して。あとパンを焼いてくれないか?」
「はい」
プレートにご主人様が作った料理を並べていく。色とりどりの料理に思わず私は目を輝かせた。
ご主人様の作る料理は見た目もとても綺麗で、楽しくなる。私はプレートをテーブルに運び、ご主人様はライムを浮かべた愛すティーを持ってきてくれた。爽やかな柑橘系の香りが鼻腔にはくすぐったい。
二人揃って椅子に腰をかける。手を合わせて、私達は食事を始めた。
ご主人様のスクランブルエッグを、口に頬張り私は首をひねる。おいしい。
「何が違うんでしょうか」
「……そんなに変わるか? 俺はサイファの作った料理も好きだが」
「でも、絶対ご主人様の料理の方がおいしいです」
「まあ、お前がそう思うならそれでいいが」
私の駄々にご主人様は少し困った表情を浮かべた。絶対にご主人様の料理の方がおいしい。これだけは譲れない。
スクランブルエッグはふわふわでとろとろだし、ミネストローネはトマトの味がしっかり出てるけどたまねぎの甘さもある。美味しいのだけど、不思議と徐々に頬が膨らんでいく。
「拗ねてるのか」
「拗ねてないです。悔しいだけです」
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