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ノアール・ペルマナント・アムール。それがご主人様の本名だ。闇よりも深い黒い髪に、黒曜石のような透き通った黒い瞳を持っている。それとは対照的に肌は、真珠と同じくらいに白く滑らかだ。通った鼻筋と薄い唇が妙に色っぽくて、中性的な顔立ちは人目をやけに惹く。笑ったりすると頬がすぐ赤くなるのは、一部の人だけが知っている。
そんなご主人様は悪魔だ。私はよく分からないが、本来あるべきだった運命から外れ命を失った代わりに、半永久的な命を与えられた。その結果が、悪魔だったというだけの話らしい。少し前にそんな話をご主人様が教えてくれたが、頭が決してよくはない私にはちんぷんかんぷんだったが多分こんな感じだ。
そして、自己紹介が遅れたが、私はサイファ。サイファ・エテルニテ・シェリー。ご主人様と同じ、悪魔であり龍人である。
龍人とは人間に化けたドラゴンのことだ。昔、数万といたドラゴンは、現在では数百体までに数を減らしている。それはドラゴンというのは、人間達にとって絶対的な悪であり、排除するべき対象なためだ。それは今現在もその状況はあまり変わってはいないため、私達は種を守るためこうしてひっそりと姿を変えて隠れて暮らしている。
目には優しくない青と太陽が私達を刺していた。独特の潮の香りが鼻には少し痛い。見渡せば朝の市場が終わったためか、午前よりも人は少なかった。
午後、私はご主人様と港町に訪れていた。理由は、食材の買出しだ。ご主人様みたいにまだ上手くはいかなくとも、おいしい料理が作りたい。そう我侭を言えば、最初ご主人様は「来週じゃだめなのか」と文句を言いながらも、結局のところ連れてきてくれた。
「……サイファは何が作りたいんだ」
「うーん。ご主人様の地方の料理が作りたいです」
まだご主人様には話せていないが、いつか二人きりでご主人様の故郷に帰ること、それが私の夢だった。ご主人様が育った風を、香りを、温もりを感じたい。そして、ご主人様と同じ話をできるようになりたいのだ。
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