【本編】我ら祖国の為に！！ (ページ22)

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第23話　特殊部隊副隊長ローズページ22

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「はい、例のブツ。」

そう言われて渡されたのは口紅でも
出てきそうな銀の筒。

「マルーン、いい加減会議出席
したら？」

「？いたじゃん？」

「ここで言う『出席』は本人が
来ること！オートマが出席するのとは
また違うの！」

「仕方ないでしょうよ、ヤベーイ薬品
扱ってるし、あと工場から遠いん
だよね。」

そういう会話を繰り広げたのが
数時間前。今私は両手に筒を抱えて
通気孔から電気管理室に忍び込んで
いる。

摩天楼の如くサーバーが積まれていて、
クーラーが仕事していない。

コレ通信班が見たら激怒なり
鼻で笑うなりしそうだな。

私はサーバーの裏に口紅を置いた直後
だった。

『警報。侵入者を発見。繰り返す、
侵入者を発見。場所は――』

嗚呼、うちのカシラだな、
見ずともわかった。

特に考えず無視して通気孔から外に出た
ときに(恐らく)番犬と目が合った。

『ワン！ワン！』と巨体がこちらに
向かって吠えている。

ずっとそれを見上げていたが、次の瞬間
私が番犬になった。目の前には
ハツカネズミが転がっていた。

どうやらこの番犬は相当な信頼を
得ていたらしく、首輪だけでリードで
繋がれているようなことはされて
いない。

こうなれば私のターンだ。

どさくさで開いてしまったらしい入り口
から入り、3～4ヶ所開いている部屋に
次から次へと侵入した。

すると太っちょなり痩せっぽちなり
様々なタイプのおっさんが驚きの目で
こちらを見てくる。それを私は足を
中心に噛んで行く。

驚きを禁じ得ないのは至極当然である。
なぜなら信頼を寄せていた犬が
暴れ出したから。

そして本人たちは知らない。
朝には狂犬病でご臨終になることを。

外へ戻るとまだハツカネズミが
転がっていたのでそちらに憑依した。

その後、敷地から出て私は特殊班室で
起きた。
人間の私の顔にはネズミを模した
悪戯書きが水性ペンでされていた。

優しさなんだか、悪戯なんだか。