序 ページ1
「ご了承いただけたようでしたら、こちらに所属と識別番号を」
ペンとともに出された紙の所定の欄に、言われた通り自分の所属、そして識別番号を書いていく。隣では同じように、4989さんがものすごい真面目な顔をしながらペンを動かしていた。
「そんなに気合い要ります…？」
「大事な書類だしちゃんと書かないと」
「だからって…ねぇ」
カウンターの向こうの造血幹細胞さんを見ると、彼女も私と同じように苦笑いを浮かべていた。ただその笑みに微笑ましさが混じっているのを見て、私はなんだか嬉しくなる。
「それでは書けたようでしたら、こちらで確認させていただきます」
「お願いします」
さっと書類に目を通し、不備がないことを確認して、造血幹細胞さんはにこりとこちらに笑顔を向けた。
「はい、大丈夫なようですので、こちらで間違いなく受理させていただきます。お疲れ様でした」
「ありがとうございました」
「よろしくお願いします」
二人で礼を言って、小部屋一つ分くらいの小さなその施設を出る。歩き出しながら、私はんーっと伸びをした。
「意外とそんなに時間かからなかったですね」
「まあめちゃくちゃ煩雑な手続きってわけでもないしねぇ。とりあえずこれで、俺に何かあったときはAちゃんが俺の代わりに色々と判断できるようになったし、その逆もまた然り。俺の番号が入った支給品をAちゃんが受け取りに行くこともできるんだぜ」
「……あのハンカチの話ですか」
「だって、造血幹細胞のところに行ってもまるきり他人のAちゃんじゃあ無地のハンカチしか受け取れなくて、仕方なく自分で俺の番号刺繍して飴玉つつんで病室に置いたって、すげえかわいい話じゃん」
「私にとってはいやな思い出ですー！あんなことする日がくるんだったら、赤芽球時代にマクロファージさんからもっとちゃんと刺繍とか学んでいればよかったって何度思ったことか…！」
「一生の宝物」
「人の黒歴史を……」
「でも、あの刺繍があったから俺はすぐに元の記憶を取り戻せたんだ」
立ち止まって、4989さんは言う。私も足を止めて少し赤く染まった4989さんの顔を見上げた。うれしい、という少し照れ臭いこの感情を、割とすんなり受け入れられるようになったのはいつ頃からだっただろう。
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まじかるれいん☆ - オザさん» ヘイ！気に入りました！即興ってところがすごい(°▽°) (2018年9月4日 21時) (
レス) id: 9a258b9a35 (このIDを非表示/違反報告)
まじかるれいん☆ - オザさん» ヘイ！気に入りました！即興ってところがすごい(°▽°) (2018年9月4日 21時) (レス) id: 9a258b9a35 (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - オザさん» アルミ缶にするわ← うん！よろしくね〜 (2018年9月3日 21時) (レス) id: 626aa5da43 (このIDを非表示/違反報告)
オザ(プロフ) - 水無月さん» ありがとう！手を怪我して赤血球さんが大変なことになるので握り潰すのならアルミ缶くらいにしておいてください…今作もよろしく！！ (2018年9月3日 20時) (レス) id: 5d539585d0 (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - 続編おめでとう！いや、今回も尊すぎて缶を握り潰しちゃいそう…w 更新頑張ってね！楽しみに待ってまーす！ (2018年9月3日 19時) (レス) id: 626aa5da43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：オザ | 作成日時：2018年9月2日 17時
