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37 執拗 ページ39

49「人に聞かれるのはあんまりよくないと思って」

A「どうも」


連れてこられたのはやはり閑散とした路地の裏。人はまばらに通って居るけれど、わざわざこちらの話し声に聞き耳を立てるような輩は居ないようだ。

彼は周りを見渡した後、よし、と声を上げて私を見た。


49「Aちゃんごめん、あんな質問しちゃって」

A「……」


驚いて声が出なかった。あんな質問、とは恐らく女の子かどうか、という質問のことだろう。私は言葉の代わりに、ふるふると首を振って応えた。

A「私が言っていなかっただけなので」

49「うーん…」

A「他になにか」


私が先を促すと、彼は少し躊躇した。だが、覚悟を決めたのか、私に向かって近づいてくる。なんだなんだと思っている間に、手を取られて握りしめられた。


49「俺とっ」

A「と、?」

49「あ〜〜〜〜…………ぅ……」


勢いに乗せて何かを言ってきたかと思えば、そのまましゃがみこんで頭を抱え出した。先に言わせてもらうと、私はそこまで鈍感ではない。この行動に付随するこの流れの行き着く先は、なんとなく分かっている。


A「私はやめておいたほうがいいと思いますよ」


49「んえ?」

私の発言に呆気に取られた彼はぱっと顔を上げた。恐らく俺と付き合ってくれと言いたかったのだろう。だが、私は私自身をおすすめ出来ない。彼は勤勉で優しくてユーモアがある。そもそも、私と釣り合わない。


A「先輩みたいな可愛い子なら、何人か心当たりがあります」


49「……はあ?」


私の言葉の真意を汲み取ったのか、少し苛立ちの含んだ声で返されてしまった。これは事実だ。そうでなくとも、私は彼のことをそういった目で見たことは無い。

はなから不成立な交渉をする必要も無いだろう。それに、昨日今日で女であることを知ったと言うだけで、告白してくるような浅はかさは、いただけない。

A「言いたいことはなんとなく分かりますけど、俺にそういうのは期待しないでください。前の体の時痛い目にあってるんで」

49「…Aちゃんは、俺の事嫌い?」

A「は?」

今度は私が声を上げた。今はそんな話をしていたわけではなかったはずなのだが、目の前の彼はしゃがみ込んだまま、捨てられる前の子犬がするような目でこちらを見ている。

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まみむのめ(プロフ) - 結(むすび)さん» コメントありがとうございます!3年前の作品なのに楽しみにしてくださっていたというお言葉とても嬉しいです!頑張って完結させようと思っているので、是非気長にお付き合い下さい😊 (2月27日 3時) (レス) id: e8b27ecec5 (このIDを非表示/違反報告)
結(むすび)(プロフ) - 更新ありがとうございます!大好きな作品だったのでこうしてまた読むことが出来て本当に嬉しいし幸せです…! (2月25日 10時) (レス) @page41 id: b4d41c6372 (このIDを非表示/違反報告)
まみむのめ(プロフ) - スノウさん» ありがとうございます!細胞が人間くささを出す話がとても好きなので嬉しいです! (2021年6月9日 0時) (レス) id: 7de2b213c2 (このIDを非表示/違反報告)
スノウ(プロフ) - この話すごく好きです。下の方のコメントをパクるみたいであれなんですけど(気分害されたらすいません。)、本当に人間味がある話だなと思いました!更新楽しみにしてます! (2021年6月8日 15時) (レス) id: 4bf735c37e (このIDを非表示/違反報告)
まみむのめ(プロフ) - 玲さん» コメントありがとうございます!遅くなってしまい申し訳ないです。感想をいただけるのはとても嬉しいので、更新頑張ります! (2021年6月5日 1時) (レス) id: 7de2b213c2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まみむのめ | 作成日時:2021年3月16日 3時

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