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09 苦手 ページ11

白「いや、それは」

何故か首と耳まで朱に染め上げた白血球を見て、まさかと勘づき首を振る。
他人の面倒事、特に他人の色恋に口を出すと後々なにかと面倒が重なってしまうと知っているから、なんとかして切り抜けなければと咄嗟に判断した。

A「好きか嫌いかって言われたらそりゃ好きですけど、そういう意味じゃないんで。まじで安心してください」

白「そ、そうか」

ほっと胸を撫で下ろしたらしい白血球を見て、同じく一安心した私もため息をつく。男を装ってもう何年も経つが、こんな修羅場は初めてだと昔を思い返して感傷に浸った。


A「そろそろ戻ります」

白「あぁ、じゃあ俺も戻ろう。」

そう言って白血球は持っていた紙コップをゴミ箱へ捨てて、私の後ろを着いてくる。

向こうでは、先輩が手を振りながらぴょこぴょこと飛び跳ねており、隣にいた白血球も同じくこちらに手を振っていた。

この白血球は、かなりフランクな性格をしているらしく、初対面ですぐ握手やハグをしてくるあたり、あまり得意な相手ではないと思う。
得意でないというのは、苦手というよりも恐怖に近い感情だった。

こうやって相手を油断させておいて………、なんて手段をいくつも見てきたし、餌食になったものがどんな末路を辿ったのか知っているからである。

49「赤血球ちゃんの後輩か〜〜名前は?」


A「…赤血球AE3804です」


49「じゃあ3804ちゃんかな?あ、でもそれだと赤血球ちゃんのことも3803って呼ばなきゃダメか」


38「あっならA君はA君でいいと思います!ねっ!」

A「あ、はい。それで大丈夫です」

先輩がそう言って私の肩を叩く。つい無意識で頷いてしまったが、別に名前を呼ばれたくないという訳ではなかった。

ただなんとなく、安易に教えてはいけないような気がして、最低限付き合う気のない人間には言ってこなかっただけである。


嬉しそうによろしくねと私の名前を呼んだ白血球4989番の男に、はいとだけ返事をして目を逸らした。

これが面倒なことにならなければいいなと、ただ願うことしか出来なかった。

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まみむのめ(プロフ) - 結(むすび)さん» コメントありがとうございます!3年前の作品なのに楽しみにしてくださっていたというお言葉とても嬉しいです!頑張って完結させようと思っているので、是非気長にお付き合い下さい😊 (2月27日 3時) (レス) id: e8b27ecec5 (このIDを非表示/違反報告)
結(むすび)(プロフ) - 更新ありがとうございます!大好きな作品だったのでこうしてまた読むことが出来て本当に嬉しいし幸せです…! (2月25日 10時) (レス) @page41 id: b4d41c6372 (このIDを非表示/違反報告)
まみむのめ(プロフ) - スノウさん» ありがとうございます!細胞が人間くささを出す話がとても好きなので嬉しいです! (2021年6月9日 0時) (レス) id: 7de2b213c2 (このIDを非表示/違反報告)
スノウ(プロフ) - この話すごく好きです。下の方のコメントをパクるみたいであれなんですけど(気分害されたらすいません。)、本当に人間味がある話だなと思いました!更新楽しみにしてます! (2021年6月8日 15時) (レス) id: 4bf735c37e (このIDを非表示/違反報告)
まみむのめ(プロフ) - 玲さん» コメントありがとうございます!遅くなってしまい申し訳ないです。感想をいただけるのはとても嬉しいので、更新頑張ります! (2021年6月5日 1時) (レス) id: 7de2b213c2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まみむのめ | 作成日時:2021年3月16日 3時

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