8 落し物 ページ10
49「あ」
46「どうした4989」
49「トランシーバ落としたかも」
その言葉に、隣でつなぎのベルトを締めた同期の2048番が、大きくため息をつく。
20「なんでだよ、こないだまであっただろ」
49「んん〜？」
46「どこかで落としたんじゃないか、心当たりは？」
そう言われ、はたと先日の出来事を思い出した。
たしか、見回りのついでにサボ…休もうといつもの様にマンホールを開けて裏路地に出た時、泣きじゃくっていたプラズマ細胞の女の子と駄弁ったっけ。
駄弁ったっていうか、俺が一方的に喋り続けてただけだけど。
おそらくその辺りでなにかの拍子に落としてしまったらしい。あそこまでいくのはここからだと少し遠すぎるな、と重苦しいため息をついたものの、支給品を上に再び強請るのもまた面倒で、仕方なくパトロールついでに探しに行くことにした。
のだが。
『…これ、おとしもの』
49「えっ、Aちゃん？」
寮を出た途端、現れたのは先日のプラズマ細胞の女の子だった。
この間とは違って泣き腫らした目も、すっかり元に戻って風貌のいい顔つきが鮮明に見て取れる。
そんな美人が、トランシーバを片手に寮前に立っているものだから、驚いて、失礼だと分かっていながら彼女の顔をまじまじと見つめた。
すると、その事に慣れていないのか、少しだけ顔を赤くした彼女は、これ、と言って持っていたトランシーバを俺に押し付け、そのまま振り返り来た方向に走り出す。
一瞬の出来事であったために、判断が鈍ったものの、ここで逃げられては次はいつ会えるか分からないと咄嗟に判断して、彼女を追いかけてその腕を強引に掴んだ。
腕を掴まれた衝撃で、彼女の体はこちらに倒れ込んできたが、彼女ほどの体重がのしかかってくることに問題はない。
よろめいた彼女を受け止めると、ちょうど後ろから抱きつくような形で、彼女の動きを制することが出来た。
『わ、えっ、ちょっと！？』
突然のことに、顔を赤くさせたり青くさせたりした彼女の顔を見て、ついに吹き出す。
それに馬鹿にされたと勘違いした彼女は、何とかして俺の腕から逃れようと身をよじるが、すかさずその体を抱きかかえて大人しくさせた。
49「ごめんごめん。せっかくなんだし、ちょっとあっちで話そうよ」
ね？と念を押すと、彼女はしばらくぶつぶつと何かを渋っていたようだったが、俺のしつこさに観念して、おずおずとその首を縦に振った。
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まみむのめ(プロフ) - 結(むすび)さん» はじめまして！コメントありがとうございます！結構時間をかけて作ったものなので、そう言って頂けてありがたいです！ (2021年6月5日 1時) (
レス) id: 7de2b213c2 (このIDを非表示/違反報告)
結(むすび)(プロフ) - コメント失礼します、、！最後まで読ませていただきました。作者さんの文章の書き方も設定を細かく考えている所も、キャラとの関係性も、主人公ちゃんのイラスト等も、何もかも素晴らしかったです！素敵な作品をありがとうございます、、 (2021年5月18日 18時) (レス) id: 0ce8940541 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まみむのめ | 作成日時：2021年3月5日 16時
