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6 奇妙な出会い ページ8

表の通りとは違って、閑散とした裏通りは、サボりに来た様子の赤血球達恒例のたまり場となっているようだ。
なるべく彼らに勘づかれないように帽子を深く被りながら、嗚咽を漏らす。

止まらない涙は当然のようにしょっぱい味がして、目をどれだけ擦っても擦っても止まる気配がしない。むしろ、擦りすぎたことによって、目元は赤く腫れ、熱を帯びる。

きっと酷い顔になっているだろう、このままでは暫く表に戻れそうにないと後悔したその時、ジジジ…、とまるでトランシーバのような電子音が耳元をよぎった。


『え…?』


もしかしてと思い、自分の胸元からそれらしき機械を取り出すが、音の発生源ではないようだ。

トランシーバらしきものを持っている細胞といえば、と周りを見渡すが、好中球を始めとする白血球達の姿はそこには無かった。


『はは…幻聴まで聞こえるようになっちゃった、か…、』


そう苦笑してから、手元のトランシーバを胸元の衣嚢に収めようとしたその時。


「あれ、こんな所に珍しい」


ガタガタとマンホールが動いたと思ったら、それを頭で持ち上げて、こちらを見上げる好中球と目が合う。あまりの唐突さに言葉を失った私を見て、好中球は不思議そうに首を傾げた。

「プラズマ細胞じゃん。こんなところでなにしてんのー?」

優しさなのか、私の顔が涙でぐちゃぐちゃになっていることに一目見るだけで気づくはずなのに、それを茶化す素振りは感じられない。
ただ純粋に、なぜ私がここにいるのかが気になっていると言いたげな口ぶりだった。


『こうちゅ……きゅう…、』


泣き腫らした目を擦り、横隔膜の震えにしゃくりあげた声でその名前を呼ぶ。

幾分か物腰が柔らかそうなその好中球は、名前を呼ばれたことに、うん。とだけ返事をして、マンホールを押しのけ、私の隣に座り込んだ。

彼も先の白血球と同じ組織に所属しているらしく、違っていたのは、帽子に付けられていたネームプレートの番号だけであった。


49「俺、好中球の4989番、君は?」

『…、A、番』

49「そうなんだ、俺他の白血球達と話したことは何回かあるけどプラズマ細胞は初めてだなー」


そう言って笑う彼に、なるべく顔を見られたくなくて、帽子のつばを前に持ってきて目元を隠す。

なぜ彼のような好中球がここに居るのか、なぜこのタイミングなのか、答えのない問いに振り回され、ただただひたすらに自分の不運を呪った。

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まみむのめ(プロフ) - 結(むすび)さん» はじめまして!コメントありがとうございます!結構時間をかけて作ったものなので、そう言って頂けてありがたいです! (2021年6月5日 1時) (レス) id: 7de2b213c2 (このIDを非表示/違反報告)
結(むすび)(プロフ) - コメント失礼します、、!最後まで読ませていただきました。作者さんの文章の書き方も設定を細かく考えている所も、キャラとの関係性も、主人公ちゃんのイラスト等も、何もかも素晴らしかったです!素敵な作品をありがとうございます、、 (2021年5月18日 18時) (レス) id: 0ce8940541 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まみむのめ | 作成日時:2021年3月5日 16時

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