5 そのための心 ページ7
「あいつら、他の白血球があんだけ戦ってんのに、なんで見てるだけなんだよ」
「同じ免疫細胞らしいが、仕事くらいしてくれよな」
何度も掛けられた無慈悲な言葉。慣れるまでに時間がかかってしまったが、最近はようやく心を殺すことが出来るようになった。
認めたくは無いのだが、実際、その通りだ。
私たちは役立たず。しかし、好中球もマクロファージも、あのキラーTにさえも、そんな陰口を言われたことがなかった。
彼らは、
B細胞が活性化した後、私たちは形質細胞として細菌の抗体を自分で作り出すことが出来るようになる。だが、その抗体を作る力は、悲しいかな、1人1回までと決まっているのだ。
1度作りだした抗体は、その細菌にしか機能しないために、非該当の細菌が体に侵入してきたとしても、その抗体を新しく作り出すことができないのだ。
それを分かっているから、白血球達は1度だって私たちに文句を言ったことがない。
だから、それが憎くて仕方がなかった。
白血球がなんなくこなす遊走だって、我々には機能として備わっていない。
彼らが難なく魅せる、無差別な非特異的攻撃だって、我々ではまず、抗原を特定してからでなければ攻撃さえすることができない。
なのに、
哀れみ？気遣い？お前たちの性質上仕方ないことだ？
ふざけるな。
私たちは哀れんで欲しくて戦ってるんじゃない。
ただ一言、ありがとう、と、彼らと共に戦う身として、言われたかっただけなのに。
後ろ指を刺されることも、仲間だと思っていた白血球達に気を遣われ、哀れみを受けることも、もううんざりなのだ。
私だって、免疫細胞なのに。
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まみむのめ(プロフ) - 結(むすび)さん» はじめまして！コメントありがとうございます！結構時間をかけて作ったものなので、そう言って頂けてありがたいです！ (2021年6月5日 1時) (
レス) id: 7de2b213c2 (このIDを非表示/違反報告)
結(むすび)(プロフ) - コメント失礼します、、！最後まで読ませていただきました。作者さんの文章の書き方も設定を細かく考えている所も、キャラとの関係性も、主人公ちゃんのイラスト等も、何もかも素晴らしかったです！素敵な作品をありがとうございます、、 (2021年5月18日 18時) (レス) id: 0ce8940541 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まみむのめ | 作成日時：2021年3月5日 16時
